今回は複数のボリンジャーバンドを組み合わせた分析手法です。

マーケットスピードFXでは3本のボリンジャーバンドのパラメータを期間、標準偏差とも個別に設定することが可能ですから、この個別設定を活かして短期と長期のボリンジャーバンドの組み合わせによる分析手法を2つ紹介したいと思います。

(1)20期間と50期間のボリンジャーバンド

まず、短期20期間、長期50期間で、標準偏差はどちらも2σのチャートを出します。このコラムではおなじみのドル円週足チャートに2つのボリンジャーバンドとBandWidthを表示します。

ボリンジャーバンドのMAはどちらか片方しか表示できませんので、ボリンジャーバンドの設定画面では20期間を表示し、別途移動平均線の設定画面から50期間の移動平均線を表示することで、それぞれ短期(20期間=オレンジ)と長期(50期間=青)のボリンジャーバンドを表示させています。

第4回のBandWidthの使い方で、20期間のBandWidthが最大幅に拡散したボージのポイントがトレンド反転のシグナルとなりうることを説明しました。しかし、この週足チャートではその後も上昇トレンドが継続しました。なかなかこうしたチャンスには巡り会わないものの、このような息の長いトレンドが続く場合の判断方法として20期間と50期間のボリンジャーバンドの動きを見る方法があります。

まず、参考までに20期間ボージのポイントはBandWidthから伸ばした水色の点線で示したポイントであることはわかります。今回は、短期ボリンジャーバンド(20期間)と長期ボリンジャーバンド(50期間)のBandWidthのクロス(交差)ポイントを探します。黄色の点線で示したポイントです。このポイントは短期ボリンジャーバンドが長期ボリンジャーバンドを上側は上抜け(ゴールデンクロス)、下側は下抜け(デッドクロス)しているポイントとなります。

このポイントから短期と長期のボリンジャーバンドの形状に注目してください。トレンドが出た方向と反対側の下側のバンドは途中から短期ボリンジャーバンドが上昇に転じることで長期ボリンジャーバンドから乖離する動きとなっていますが、トレンドが出ている方向の上側のバンドは、短期ボリンジャーバンドも長期ボリンジャーバンドも同じように上昇トレンドを続け同じような水準で推移していることがわかります。

このように20期間と50期間のボリンジャーバンドが同じような水準で推移を続ける状態こそが息の長いトレンドの継続を示している典型的なボリンジャーバンドの形状と言えます。トレンドの終焉は、長期ボリンジャーバンドのボージまで待つと時期を逸してしまいますので、トレンドが出ている方向(この例では上側)のバンドのクロス(この場合、短期ボリンジャーバンドが長期ボリンジャーバンドを下抜けるデッドクロス)を見ていると良いでしょう。

(2)5期間±2σと20期間±1σのクロス

20期間と50期間のボリンジャーバンドのクロスの話が出ましたので、もう少し短いボリンジャーバンドを組み合わせ、かつ標準偏差を変える例も見てみましょう。設定は以下のように5期間のボリンジャーバンドは±2σ、20期間のボリンジャーバンドは±1σとなっています。

この設定でユーロ円1時間足のチャートを見てみましょう。

このチャートで見るべきポイントは、短期ボリンジャーバンドの長期ボリンジャーバンドンとのゴールデンクロスとデッドクロスです。つまり、5日ボリンジャーバンド(+2σ)の上側が20日ボリンジャーバンドの上側(+1σ)を上抜けたら買い、5日ボリンジャーバンド(+2σ)の下側が20日ボリンジャーバンドの下側(+1σ)を下抜けたら売り、ということになります。左から見ていくと最初のデッドクロスによる売りから、次のゴールデンクロスによる買いまでの期間はよくワークしています。しかし、それ以外の部分(すべて丸で囲んでありますが、点線で囲った部分)は決してワークしているとは言えません。

この手法は比較的早期にトレンドに乗れる方法ではあるものの、もみあい局面ではダマシも多くなるため、他のテクニカル指標と組み合わせることでより的確なタイミングをはかることが可能となってきます。

次回は、ボリンジャーバンドと組み合わせる時に相性の良いテクニカル指標について解説することにしましょう。

第7回のポイント

  • エクスパンション後、20期間と50期間のボリンジャーバンドが同じような水準で推移する場合、息の長いトレンドが形成される。
  • 期間、あるいは標準偏差のことなるボリンジャーバンドどうしのクロスも考慮すべき手法のひとつ。