先週のマーケットは、北アジアの地政学リスクに対する警戒と不安の中で始まりました。米朝の軍事的緊張がこれまでにないレベルまで高まり、株式投資家の不安心理の度合いを示すVIX指数(恐怖指数)は、昨年の大統領選以来の高水準まで上昇しました。

 しかしながら、米朝の軍事衝突という最悪の事態はとりあえず回避され、マーケットの過剰な警戒感のやわらぎと共に、マーケットはドル高/円安に向かい、16日にはドル/円は110.94円まで上昇、111円台へあと一歩と迫りました。

 これに反し、ドル/円の勢いはここまで。FOMC(連邦公開市場委員会)議事録の公表後にドルが急落しました。議事録では、FOMCメンバーの多くが、「2%のインフレ目標達成が予想より遅れている」との認識を共有していることが明らかに。インフレが伸び悩んでいる状況で、米国の年内利上げはないだろうとのあきらめから、マーケットはドル売りへと方向転換しました。

 米国では、白人至上主義をめぐる衝突でトランプ大統領の対応に非難が集まり、企業イメージに傷がつくことをおそれた経済政策助言機関のメンバーが相次いで辞任。経済界の離反でトランプ米大統領が掲げる経済政策の実現性が一段と後退したことが、ドル売りを勢いづかせることになりました。さらにスペインのテロ事件が円買い材料となって、ドル/円は4カ月ぶりの安値となる108.59円まで下落することになりました。

ウィークリーピボット

 ウィークリーピボットは、先週のレンジを元に、今週のレンジを予想しようとするものです。今持っているポジションの利確や損切りレベルの参考として、あるいは新しいトレードのエントリーポイントなどに活用することができます。

 今週のドル/円のピボット・ポイントは、109.59円です。
ピボットとは「回転軸」という意味で、このレベルを相場の強気と弱気の転換点と考えます。レートがピボット・ポイントより下で取引されているときは、ドル/円の相場はどちらかというと弱気を向いていると考えられます。

 ウィークリーピボットの上値ライン(レジスタンス)は、110.57円、下値ライン(サポート)は108.22円です。先週の高値は110.94円、安値は108.59円でした。

 

デイリーピボット

デイリーピボットは、前日のレンジを元に、今日のレンジを予想する指標です。今日のドル/円の上値ライン(レジスタンス)は、109.67円、下値ライン(サポート)は108.67円です。