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『春闘』とは、春季生活闘争の略で、労働組合が賃上げなど労働条件の改善を企業側に求める労働運動のことを言います。その名称は、4月の年度始まりを前に労働組合が企業と交渉することに由来しています。例年、労働組合が2月頃に賃金水準の引き上げ「ベースアップ(ベア)」などの待遇改善を企業に要求し、3月末までの妥結を目指します。深刻な人手不足を背景に、今年の『春闘』には新たな動きが見られています。
【ポイント1】今年の『春闘』では過去5年とは異なる動き
経団連は総合的な処遇改善を求める姿勢
安倍政権は2012年の第二次政権発足以降、経済界に賃上げを促してきました。昨年は3%の賃上げを要請し、経済界もこれに応える形で5年連続でベアが実現してきました。安倍首相は、今年は具体的なベアの数値目標を示していないものの、今年も日本経済団体連合会(経団連)に賃上げを要請しています。
経団連は、1月22日に経営側の『春闘』の指針を公表し、基本給のベアは選択肢の1つとされました。また、生産性の向上や収益拡大の成果を総合的な処遇改善によって社員に還元することは働きがいを高めるとして、テレワークやフレックスタイム制の導入の他、人材育成を重視する方策などが提示されました。
【ポイント2】背景には深刻な人手不足と、働き手のニーズの多様化
これまでの『春闘』の枠組みに捉われない企業も見られる
このような新たな取り組みの背景には深刻な人手不足があります。例えば、人工知能(AI)関連などデジタル技能を持つ人材の獲得競争は厳しさを増しており、個人の成果を基に給与改定を行うなど、全員一律的なこれまでの『春闘』の枠組みに捉われない企業も出てきています。また、非正規社員や外国人、シニアなど、働き手のニーズが多様化している中で、非正規社員の年収引き上げを求めたり、定年引き上げを求める動きなども見られています。
これらの動きは、昨年成立し、今年の4月から施行される働き方改革関連法案や改正出入国管理法への対応にもつながります。
【今後の展開】今年も賃上げは実現しそう、3月中旬の集中回答日に注目
実際の大手労組の要求内容を見ると、自動車総連は今年の『春闘』からベアの獲得目標をやめて給与の実額要求に転じましたが、電機連合ではベアに相当する賃金改善分として月額3千円以上を柱とする統一要求方針を決定しました。業界の事業環境が異なることもあり、多様な動きとなっていますが、人手不足は共通しているため、今年も賃上げは実現しそうです。3月中旬の『春闘』の集中回答日が注目されます。
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