「アンリツ」の株価上昇中。周辺の小型株にも動意

 2020年にかけてサービスがスタートする「5G(第5世代移動通信システム)」。株式市場では早くから関心が持たれてきました。

  関連株としては「NTTドコモ(9437・東証1部)」、auの「KDDI(9433・東証1部)」「ソフトバンク(9434・東証1部)」の既存携帯電話サービス大手に加え、この秋に参入する「楽天(4755・東証1部)」がまずイメージされます。しかし実は株式市場で昨年1年を通して最も「5G関連株」として注目されたのは、通信計測器大手の「アンリツ(6754・東証1部)」でした。

 アンリツには5G端末研究開発需要などが生じると期待され、株価は2018年2月の1,200円処から継続的に買われ、同10月には1,900円を超えました。その後、全体相場の波乱につれ安となる場面があったものの、おおむね高値をキープし、足元、一気に昨年来高値を更新する動きとなっています。1月30日に同社が、2019年3月期の連結純利益(国際会計基準)を前期比約3倍の85億円(従来予想は55億円)になりそうだと発表したことがきっかけです。会社側では「5Gの初期開発投資は世界的に高水準で推移するだろう」としています。

 ほぼ同じタイミングで、他の「5G関連株」、特に小型株に動意が見られています。全体相場に膠着(こうちゃく)感がある中、「材料株」に物色の矛先が向かうことは株式市場ではしばしば見られる動きですが、気にされるのは「継続性」です。

「5G」は現在主流のLTE回線の1,000倍以上の大容量を実現し、劇的に通信速度を高めます。このことだけでも大きな材料と感じられますが、注目されてきたアンリツの業績拡大に明確に貢献していることが確認され、株価が再動意となっていることから、「別格の株価材料」として周辺株にも広がりが出てくる可能性があります。「5G関連株」は値がさ株(それなりの投資資金を要する)が比較的多いですが、ここでは10万円で投資可能な銘柄を選んでみます。

10万円で投資可能な「5G関連株」

 株価データは2019年2月4日終値ベース。

原田工業(6904・東証1部)

 自動車用アンテナで国内首位の企業です。5Gと相性の良いコネクテッドカー(情報端末としての機能を持たせた自動車)向けで新たな需要が期待されるとみられています。

・原田工業の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

イード(6038・マザーズ) 

 ウェブサイト上で顧客企業に対してマーケティングサービスとデータサービスを提供しています。昨年「イード5Gモビリティ」というビジョンを掲げ、5G関連企業として名乗りを上げました。

・イードの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

PALTEK(7587・東証2部) 

 独立系半導体商社で外国製半導体の販売が主力です。設計受託、生産、自社製品開発を推進しており、5G製品で使われる半導体の開発も手掛けています。

・PALTECの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

理経(8226・東証2部)

 IT機器を輸入販売する技術商社です。新技術の目利きと衛星通信技術に強みを持っており、5G関連機器の取り扱いも拡大しています。

・理経の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

フジクラ(5803・東証1部)

 電線大手3社の一角です。5Gは通信基地局とデータセンターをつなぐ光ファイバーの需要も喚起するため、電線セクターの大手企業も追い風を受けるものとみられます。

・フジクラの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

 5Gはスマホでの通信が、より高速・快適になるというだけでなく、IoT(モノのインターネット)機器の普及にも必要不可欠とされています。また、産業機器や産業ロボットの通信規格としても利用されることから、想定されている以上に広がりを見せる可能性があります。関連銘柄については、実際に業績への寄与が明確になってくるとさらに注目度がアップすることでしょう。