月またぎとなった先週の国内株市場ですが、週末2月1日(金)の日経平均終値は2万788円でした。前週末の終値が2万773円でしたので、週足ベースでは4週連続の上昇となったものの、その上昇幅はわずか15円ほどにとどまりました。

 先週は企業の決算発表やFOMC(米連邦公開市場委員会)、米中の通商協議など、とにかくイベントがめじろ押しだったため、波乱の値動きにも配慮しなければならない状況でしたが、終わってみれば、株式市場は無難に過ごしたことになります。

 普通に考えれば、イベント通過のアク抜け感で上値をトライする展開に期待したいところではありますが、今週も国内企業を中心に注目企業の決算が相次ぐほか、週末にはオプション取引やmini先物取引のSQが控えていることもあり、事態はそう簡単ではなさそうです。

 それでは早速、下の図1で足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年2月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 日経平均の値動きをたどってみると、週を通じて微妙に上向きとなっている5日移動平均線に沿ってほぼ横ばいで推移していましたが、ローソク足の形は陰線が多く、とりわけ週末2月1日については、迷いを示すとされる「十字線」が出現しています。

 前週と同じく、先週も上値の重たさが感じられる印象になっていたわけですが、堅調な値動きで日柄が進んだ分、25日移動平均線の傾きが上向きになりつつあることや、先週の高値が2月1日(金)の2万929円となっていて、直近高値(1月21日の2万892円)を超える場面もありました。

 上値が重たいと言われながらも、節目の2万1,000円や、さらにその上に位置する75日移動平均線を狙える状況は維持していると思われます。

 さらに、東証1部の売買代金も週初の28日(月)以外は2兆円を超える日が続いていて、前週よりも商いが多くなっていることもプラスの材料です。国内企業の決算発表に反応する動きが寄与していると思われますが、市場全体という広大なジャングルは静かなものの、個別銘柄の局所で見れば派手なゲリラ戦が繰り広げられていたとみることができます。

 今週も1,000銘柄を超える決算が予定されているため、引き続き企業決算を手掛かりとした相場展開が想定されますが、決算については業績見通しを下方修正する企業も少なくなく、これまでのところは相場全体へネガティブインパクトを与えていないものの、2万1,000円台超えを目指していくにはポジティブサプライズが欲しいところです。

 また、今週は中国株市場が春節(旧正月)で一週間休場になるため、前晩の米国株市場の動向がその日の国内株市場のムードをより強く左右することになりそうです。そこで、米NYダウの状況を見てみます(下の図2)。

■(図2)NYダウ(日足)の動き(2019年2月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウは75日移動平均線を上抜け、週末2月1日終値時点で節目の2万5,000ドル台に乗せてきました。米国株市場は決算を好感する動きに加え、FRB(米連邦準備制度理事会)金融政策のハト派スタンスの安心感、米中摩擦も交渉継続と首脳会談への期待による不安後退などが株価を押し上げた格好です。月間ベースでも、S&P500指数の1月の上昇率は8%近い上昇を見せていて、同月としては1987年以来の大幅高となっています。

 日本株は米国株と比べて出遅れている格好のため、今週も米国株が堅調な展開が続けば日経平均も2万1,000円トライが視野に入ってきます。

■(図3)日経平均(日足)の線形回帰トレンド(2019年2月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 上の図3は、日経平均の直近高値である昨年10月2日を起点とした線形回帰トレンドですが、日経平均は今年の1月に入って+1σ(シグマ)の線を上抜けるところまで値を戻し、+2σも射程圏内に捉えています。

 +2σまでの株価上昇は「下落トレンドの中の戻り」ですが、ココからさらに上を目指していくには「下落トレンドから脱する戻り」へと局面が変わることになりますので、いったん戻り待ち売りや利益確定売りが出やすい価格水準になります。先週末時点の+2σは2万1,224円ですので、2万1,000円台乗せ後の動きが重要になってきます。

 同様に、週足でも見ていきます。

■(図4)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2019年2月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 週足では、昨年までの上昇トレンドが始まった2016年6月下旬を起点に線形回帰トレンドを描いていますが、こちらは−2σのところまで株価が戻してきたところに位置しており、「上昇トレンド下限の線への回復」が試されている状況となっています。

 基本的には、何だかんだで今週も堅調な展開がメインシナリオになりそうですが、移動平均線にも注目すると、26週と52週移動平均線が−1σを下抜けているほか、13週移動平均線が−2σを下抜けようとしています。値動きの中心線である移動平均線がトレンドの範囲を下抜けようとしているため、今週の相場展開が軟調となった際には注意が必要になりそうです。