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 今年は『5G』元年と言われます。『5G』とは次世代の無線通信規格で、米国や韓国で商用サービスの開始が今年見込まれており、国内では1月24日に総務省が『5G』の基地局開設の申請受け付けを始めました。『5G』の普及は、広範な分野でビジネスチャンスを生み出し、その波及効果が期待されるため、通信関連企業にとどまらず、幅広い産業において、各社の対応が注目されます。

 

【ポイント1】『5G』の特長は高速大容量、低遅延、多数同時接続

最も影響が大きいのは自動車産業

『5G』の特長は高速大容量、低遅延、多数同時接続です。4Gに比べ最大で約100倍の高速、大容量を目指しています。『5G』の特長をいかしたサ-ビスとしては、高速大容量では、高精細な8K映像や警備会社の監視カメラの映像などの大容量配信が、低遅延では、自動運転、遠隔医療、ドローンが、多数同時接続では、IoT(モノのインターネット)などがあげられます。

 最も影響が大きいとみられるのが自動車産業です。自動運転は車に積んだカメラやレーダーで集めた膨大な情報をクラウドに送り、人工知能(AI)で分析してリアルタイムで遠隔処理します。それには『5G』の高速大容量、低遅延という特性が欠かせません。『5G』の普及による自動運転の開発加速が期待されます。

 

【ポイント2】通信設備から端末まで影響は大きい

『5G』は半導体需要拡大のけん引役として期待 

 通信関連でも『5G』は通信設備から端末まで影響は広範囲に及びます。米国や韓国での『5G』の商用サービス開始に合わせ、『5G』スマートフォンが世界で30種類以上発売される見通しです。また端末には電波を通しやすいガラスや樹脂などの使用が拡大するとみられ、関連素材各社は商機として期待しています。

 昨年の10月ごろから急減速してきた半導体需要の反発のけん引役としても『5G』が期待されています。『5G』が普及すると大容量のデータを高速でやり取りすることになり、データセンター投資などにより、半導体需要の拡大が予想されるためです。

 

【今後の展開】『5G』の波及効果に期待

 今後の『5G』の波及効果への期待は大きく、東京エレクトロンは今後10年間で、毎年1,000億円以上を研究開発費に投じる考えを示しました。また村田製作所は普通社債を1,000億円発行して『5G』向け電子部品などに充てると発表するなど、ここにきて企業の取り組みも活発化してきました。ただ『5G』を使ったサービスは開発途上にあり、国籍・業界を越えた提携などにより、開発で先行し、ビジネスチャンスに結び付けていけるかが問われます。 

*個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。