19年の原油相場回復を予想、石油メジャーが上昇基調継続か

 国際原油価格は18年10-12月に42%下落したが、BOCIはこれを需給動向とは別次元の過度の急落と受け止め、19年の原油相場の大幅回復を予想している。石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国の減産合意がその理由。また、原油先物市場でファンドによる純買い越しが縮小している現状についても、今後は原油相場の反転要因になり得るとした。中国の石油メジャー3社の株価は年初からそれぞれ3-10%値上がりしたが、BOCIは今後も上昇基調が続くとみている。

 OPEC加盟国とロシアをはじめとする非加盟国は19年年初から6カ月間にわたり、日量計120万バレルの減産を行うことで合意した。これに加え、カナダ・アルバータ州も1-3月に日量32万5,000バレルの減産を行う計画。その後は段階的に日量9万5,000バレルに縮小しつつも、減産を継続する方針を明らかにしている。こうした計画が実際に履行されれば、世界原油市場の供給過剰感の是正につながる可能性が高い。

 原油先物市場ではファンドの純買い越しが19年1月半ば時点で17万枚と、この時期としては4年ぶりの低水準を記録した。BOCIは18年9月後半-12月初めに50万枚から14万枚へ73%減少し、これが原油相場の10-12月期の急落を招いたとの見方。ただ、純買い越しは現時点ですでに小さく、ポジション調整によって今後さらに縮小するより、拡大する可能性のほうが高いとみている。

 一方、米国が8カ国(日本や中国など)に対して認めたイラン産原油の禁輸除外措置は、5月前半に期限切れとなる運び。米国がこの除外措置を延長するか、あるいは禁輸措置を適用するかが、原油相場の大きな変動要因になり得る。

 北海ブレント原油価格は18年に1バレル当たり平均71.7米ドルと、BOCI予想の72米ドルをやや下回った。BOCIは続く19年、20年の想定価格をそれぞれ平均64米ドル(修正前69米ドル)、66米ドル(同67米ドル)に下方修正。原油価格見通しの下方修正と国内石油精製事業の利益率悪化を反映させる形で、中国の石油メジャー3社、ペトロチャイナ(00857)、シノペック(00386)、CNOOC(00883)の18-20年の利益見通しをそれぞれ1-14%の幅で減額修正した。

  BOCIはメジャー3社の株価の先行きに対していずれも強気見通しを示し、特にペトロチャイナとCNOOCを有力視している。ペトロチャイナについては原油価格の回復だけでなく、国内ガス価格の上昇も追い風になるとの見方。純川上事業者(石油採掘に特化)のCNOOCに関しては、原油高によるプラス効果が最も大きいとし、生産見通しの上方修正余地や大型プロジェクトの始動に伴う埋蔵量の拡大観測などにも言及している。一方、レーティング修正につながる石油銘柄の潜在リスク要因としては、◇大幅な原油安の可能性、◇国内石油製品市場における過当競争を挙げている。