18年通期は15%増益、不良債権指標の改善が鮮明に

現地コード 銘柄名
03968

招商銀行股フン有限公司

(チャイナ・マーチャンツ・バンク)

株価 情報種類
 31.45HKD
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 招商銀行の18年12月本決算(速報値)の純利益は前年比14.8%増の805億6,000万元と、BOCIの予想通りの水準に達した。資金利益(純金利収入)は予想を1.9%上回る水準。主に資産規模の拡大と純金利マージン(NIM)の改善が寄与した。また、10-12月期には特に非貸出業務と預金の伸びが、それぞれ資産、負債の伸びを支えた。一方、不良債権指標は予想より良好。BOCIは利益見通しをほぼ現行水準に維持した上で目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気の見通しを継続している。

 18年通期の経常収益は前年比12.6%増と、BOCIの事前予想を0.4%上回った。資金利益は10.7%増で、やはり予想を1.9%上回る水準。資産規模の拡大に加え、NIMの拡大が予想上振れの主因となった。NIMの改善を後押ししたのは、預金準備率の引き下げやインターバンク市場における10-12月期の流動性の増加であり、BOCIの推定では、10-12月期のNIMは前期を約4ベーシスポイント(0.04ポイント)上回ったという。一方、非金利収入の伸びは10-12月期に前年同期比16.1%と、1-9月の19.2%から減速した。18年通期の営業費用は、管理費の増大や金融テクノロジーへの投資を背景に8.9%増。BOCIによれば、18年の利益成長を支えた最大の要因は信用コストの低減であり、資産規模の拡大やNIMの改善がこれに続くという。18年の平均ROE(株主資本利益率)は16.57%と、前年比で0.03ポイント上昇した。

 18年末時点で、総資産、総負債、貸出総額、預金総額はそれぞれ前年比7.1%増、6.7%増、10.3%増、8.3%増。前期(9月末)比ではそれぞれ3.6%増、3.7%増、0.5%減、2.5%増。非貸出資産が10-12月期の総資産の伸びを支えた要因であり、これは信用リスクに対する同行の慎重姿勢を示唆するという。一方、10-12月の総負債の伸びを支えた最大の要因は預金の拡大だった。

 18年には不良債権指標が軒並み改善した。期末の不良債権比率は1.36%と、9月末比で0.06ポイント、前年比では0.25ポイント低下。BOCIの予想を上回る改善ペースとなった。また、不良債権残高は期末に534億9,000万元と、9月末比で4.9%減。不良債権の正味発生率は18年に約0.56%と、前年を0.07ポイント下回った。BOCIによれば、18年の信用コストは推定約1.56%と、前年比で約0.2ポイント低下。一方、不良貸出引当カバー率は350%超に達した(9月末時点では326%)。

 現在株価は19年予想PBRで1.20倍と、セクター平均に対して87%のプレミアム水準。BOCIは資産の質や利益見通し、資本規模、資産構成などを高く評価し、金融テクノロジー分野でも先進的な地位にあると指摘。国内景気の減速期において、同社株のプレミアムがさらに拡大する見通しを示した。一方、レーティング見直しにつながる潜在リスク要因として、不動産市場の低迷や国内経済の失速の可能性を挙げている。