今回はボリンジャーバンドの形状を見ながら明確にエントリーとエグジットのタイミングを知る最も簡単な方法を紹介します。
まず、ボリンジャーバンドを使う際、ローソク足がボリンジャーバンドに達したことをもって買われ過ぎ、売られ過ぎと判断するのは間違いです。ローソク足のボリンジャーバンドに対する位置は第1回で述べた通り、価格の相対的な高低を示すに過ぎません。仮に逆張りの使い方をするのであれば一定の条件を付す必要があります。
今回はもっとも簡単で確実なボリンジャーバンドの使い方から入ります。前回と同じドル円週足チャートをご覧ください。ボリンジャーバンドは±1σと±2σの2つを表示してありますが、ここでは±2σのボリンジャーバンドの形状に注目します。
まず、黄色の矢印で示した期間にローソク足は移動平均線を上抜け、その後+1σを上抜けてきました。この段階で上昇トレンド発生を示唆することとなります。
この上昇トレンドが続くかどうかは前回説明したスクイーズからエクスパンションへの変化で判断しますが、変化を観察しすぎるとトレンドに乗り遅れてしまう可能性も大きく、ここではローソク足の終値が+2σを超えて引けたことをもって上昇トレンド継続の判断とします。赤い矢印で示したローソク足が上昇トレンド継続の判断となる足です。
稀に「ヘッドフェイク」と呼ばれるだまし(ボリンジャーバンドを超えた後、バンドの内側へと戻り、逆側のバンドへと達する動き)もありますが、これはローソク足の形状とローソク足と移動平均線との位置関係で判断しながらストップオーダーを置くことで回避することが妥当です。あまり保守的になり過ぎると流れに乗り損なってしまいます。
さて、上昇トレンドの継続を判断した後は、エクスパンションの発生を待ち、エクスパンションが継続しているかどうかを確認する作業を続けます。赤い矢印で示したローソク足から2本経過したところからエクスパンションが始まっていることがわかりますが、要はこのエクスパンションが続いている限りにおいて、上昇トレンドが継続する可能性は非常に高いと判断できます。
その後のエクスパンションの様子を上側と下側双方のバンドの形状を見てください。わかりやすくするために黄緑の矢印でエクスパンションの様子を示してあります。ローソク足が抜けた上側のバンドは上昇を続けているのに対して、反対側のバンドは黄緑の縦ラインを境に向きを変えていることがわかります。これは上昇トレンドが一定期間以上続いたことから、上側下側双方のバンドが上昇に転じてきているために起こります。
- 終値が上側のバンドを超えて引けたら新規買い(エントリー)
→ 下側のバンドが向きを変えたら仕切り売り(エグジット) - 終値が下側のバンドを超えて引けたら新規売り(エントリー)
→ 上側のバンドが向きを変えたら仕切り買い(エグジット)
また、この反対側のバンドが向きを変えた時に、利食いだけでなくドテンの逆張りで反対方向のポジション(チャートの例ではドテン売り)がワークすることも多いのですが、このチャート例では更に息の長い上昇トレンドが継続しており、失敗に終わっています。
この逆張りで入るタイミングは、バンド幅そのものの変化を見ることでより確実に判断できます。今回のバンドの形状が変化した時点では、まだバンド幅自体は拡大中ですが、これは派生指標のBand Width(バンド幅)を使わないと簡単には判断できません。
今回の例ではボリンジャーバンドだけでわかるという簡易さからバンドの形状の変化によるエントリーとエグジットを取り上げましたが、次回以降はボリンジャーバンドの派生指標であるBand Width、%b、RSIボリンジャーといったものを使って、より的確にボリンジャーバンドによる売買タイミングを見ていくことにしましょう。以下、簡単に予告をしておきます。
- Band Width
ボリンジャーバンドの上下幅の差をサブチャート表示したもので、スクイーズからエクスパンション、そしてバンド最大幅を視覚的に捉えることが出来る指標です。 - %b
終値とボリンジャーバンドの位置関係を表示したもので、今回のような終値がバンドに達したかどうかであるとか、いわゆるバンドウォークの判断が容易になります。 - RSIボリンジャー
RSIの値(%)のボリンジャーバンドで、RSIの値が上側や下側に偏っている場合でも、売られ過ぎ、買われ過ぎを知ることが可能な指標です。
第3回のポイント
- 終値が2σを上抜け、下抜けした段階での仕掛けはトレンドを逃さない。
- トレンドとは反対側のバンドが向きを変えた時は仕切りのタイミング。
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