前回はボリンジャーバンドの概念的な説明でしたが、今回はボリンジャーバンドの形状とボリンジャーバンドで使われる用語について説明します。

典型的なボリンジャーバンドの形状が見て取れるチャート例として、もみあいから上放れしたアベノミクス相場による円安トレンドの発生があります。まずは、その時のドル円週足チャートに20日ボリンジャーバンドを組み合わせたチャートをご覧ください。わかりやすくするために、中央の移動平均線と±2σのボリンジャーバンドのみを表示してあります。

 

左端から見ていくと、ボリンジャーバンドが収束から拡大へと変化していく様子が何回か現れていることが見て取れます。このボリンジャーバンドが収束している状態を「スクイーズ」と呼び、ボリンジャーバンドが拡散している状態を「エクスパンション」と呼びます。

アベノミクス相場による円安トレンドの発生を2012年7月(画面左3分の1あたり)から段階的に説明していくと以下のような流れとなります。

2012年は2月から円安の動きが始まりましたが、4月以降その上昇分を失い円安の動きが始まる前の水準へと戻しました。そして、7月に入ってからは上がっても79円台半ば、下がっても77円台半ばとわずか2円強の値幅での取引を10月中旬まで続けることとなります。このようなもみあい相場が続くと終値は移動平均に近い水準に位置しボラティリティが低下します。その結果、ボリンジャーバンドの幅が狭まり収束していく「スクイーズ」の形状となります。このスクイーズの形状はトレンドが出る前の準備段階と言えます。

10月下旬になり7月第1週以来の80円を付け、11月上旬にはしっかりと80円台に乗せ円安トレンドが出始めました。それに伴い終値がボリンジャーバンドの上限(+2σ)を超え、その後は継続的にローソク足がボリンジャーバンド上限にタッチしている状態となっています。このような動きになると終値は移動平均から離れ、ボリンジャーバンドの幅が広がり拡散していく「エクスパンション」の状態となります。エクスパンションが見られると、トレンド(チャート例では円安トレンド)が発生したと判断できます。

その後もバンド幅は広がり、ボリンジャーバンドの上側も下側も移動平均線の方向に沿う(チャート例では上昇)形状となり、3月上旬にバンド幅が最大となって以降はバンド幅が少しずつ縮小し、再びスクイーズの状態へと戻っていく様子が見て取れます。ボリンジャーバンドを使った取引を行う場合、このスクイーズからエクスパンションへと変化する初期段階でトレンドに乗ることが出来れば、効率の良いエントリーを行うことが出来ますし、エクスパンション発生後に利食うタイミングを逃さなければ、確実なエグジットを行うことも出来ます。

次回は、こうしたボリンジャーバンドの形状を見ながら、より明確にエントリーとエグジットのタイミングを知る方法を紹介します。

第2回のポイント

  • ボリンジャーバンドは、「スクイーズ」と「エクスパンション」を繰り返す。
  • スクイーズからエクスパンションへ変化する時、トレンドが発生する。