連休明けで4営業日となった先週の国内株市場ですが、週末18日(金)の日経平均は2万666円で取引を終えました。前週末終値(11日の2万359円)からは307円高、さらにその前の週の上昇分である798円と合計すると、大発会終値(1万9,1561円)からは1,105円ほど株価を戻したことになります。

 前回のレポートで指摘した、「とりあえず株価反発の流れに付いて行くのが基本的なスタンスになる」展開ではありましたが、その一方で、先週は気がかりな悪材料が登場している事もあり、このままのスタンスを継続して良いのかどうかが気になるところです。

 そこで、足元の相場状況に変化はないか、いつもの様に日経平均の日足チャートから確認していきます(下の図1)。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年1月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 先週の日経平均の値動きをたどってみると、5日移動平均線上を維持しながら推移し、週末には25日移動平均線も上抜けてきたことが分かります。

 ローソク足については、陽線、陰線、陰線、陽線という並びになっていて、16日と17日の陰線を週初(15日)と週末(18日)の陽線が挟み込む格好となっています。週初にやや強い上昇を見せたものの、本格的な上昇にはまだ自信が持てないため、利益確定売りを交えながらの様子見が続いた後に再び戻りを試してみたという様子が感じられ、買いのエネルギーがきちんと存在していると考えることができます。

 こうしたローソク足の配列パターンは上昇トレンドの最中によく見られ、有名なものとして「上げ三法(あげさんぽう)」という買いサインがあります。具体的に下の図2のような形です。

■(図2)「上げ三法」の形

 

 上げ三法では真ん中の陰線が3本続くのがセオリーですが、先週の日経平均の値動きは陰線が2本しかないものの、見た目の形状としては上げ三法っぽい格好になっているほか、週末の陽線が25日移動平均線を上抜けていることからも、形としては上方向への意識が感じられると言えそうです。

 また、週を通して見ると、先週の日本株の上昇の背景には、為替市場が落ち着きを見せていたことをはじめ、中国の景気対策への期待や米中摩擦への不安後退、米金融機関の決算を好感して米国株市場が連騰していたことなどが挙げられます。

 ただし、週初15日の取引は、前日14日発表の中国貿易統計(2018年12月分)が市場予想に反して前年同月の実績を下回ったことでマイナススタートだったことや、週末18日の取引についても、前日に発表された日本電産の業績見通し下方修正を受けて警戒ムードで迎えていたことは認識しておく必要があります。

 結果的に両日とも株価が上昇して大きな陽線となったものの、取引開始前はどちらかと言えば軟調な相場見通しが強かったわけです。そのため、実際のところは先週の値動きに乗って利益を狙うことはかなり難しかったのかもしれません。「相場は不安の崖を駆け登る」という相場格言があるものの、都合の良い解釈の側面も否めないところがあり、結局は米国株市場が上昇に連れ高しただけと考えることもできます。

 では、その米国株市場の状況も見てみたいと思います。下の図3は、NYダウの日足チャートとMACDです。

■(図3)NYダウ(日足)とMACDの動き(2019年1月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 直近のNYダウの日足チャートを見ると、陽線がズラリと並んでいて、順調に戻り基調を描いていることが分かりますが、チャートを少し過去にさかのぼってみると、75日移動平均線が戻り高値のめどとなっています。株価水準的にはこの75日線を超えることができるかが焦点になりますが、本格化した企業決算シーズンの動向がその行方を左右しそうです。

 また、下のMACDに注目すると、「0ドル」ラインも戻り高値のめどとなっていたことが分かります。MACDは「短期と中期の(平滑)移動平均線の差」を表していますので、0ドルラインを上方向に超えるということは短期線が中期線を上抜けることを意味します。NYダウのMACDは既に0ドルラインを上抜けて来ましたが、この勢いが続くのかも注目ですし、ここ最近まで上昇基調だったこともあり、上昇一服の「そろそろ感」には配慮しておく必要があります。

 そして、最後に日本株に話を戻して週足チャートの日経平均も見ていきます。

■(図4)日経平均(週足)とMACDの動き(2019年1月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 週足ベースの日経平均でMACDを見ると、線の傾きがようやく下向きから反転し始めましたが、水準的には先週末時点でマイナス953円と「0円ライン」までかなりの低位置にあります。その一方でMACDとシグナルのクロスが視野に入っていますので、中期的にも戻り局面に入りそうな状況です。また、先物取引市場では、週末の日経225先物取引が大証で2万920円、CMEが2万930円で取引を終えており、節目の2万1,000円超えも現実味を帯びています。

 こうして見ると、日経平均の「伸びしろ」の大きさに期待が持てそうな印象ですし、しばらく戻り局面が続きそうというのがメインシナリオになります。とはいえ、米国株次第では伸び悩んでしまう可能性があるため、「とりあえず上方向の流れに乗ってみて、ムードが怪しくなったら早めに手仕舞い、再度の戻りを狙う」ぐらいのスタンスが良いのかもしれません。売られ過ぎの反動や不安後退だけでなく、企業業績の再評価が株価上昇にプラスオンできるかが今週のポイントになりそうです。