中東情勢を受けた原油高が支援材料、1-3月期に大幅業績改善へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00857 中国石油天然気 (ペトロチャイナ)  5.78 HKD
(04/10現在)
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中東での地政学リスクの高まりを受け、ペトロチャイナ株の今後の値上がりが期待されている。中国国内では、石油化学製品を対象とした消費税の適用範囲が広がる見通しだが、BOCIはこれが実現すれば、地方民営企業による課税逃れの道が閉ざされ、石油精製業界の公平性が高まるとして前向きに評価。ペトロチャイナのH株、A株双方の先行きについて、強気見通しを据え置いている。

中東での地政学リスクの高まりは短期的に、原油高を支える見込み。こうした環境は、川上の原油生産事業のウエートが大きいペトロチャイナなどの石油会社に有利となる。ただ、ICE北海ブレント価格が過去2週間で9%値上がりしたにもかかわらず、同社H株はこの間、ほとんど動いておらず、同業のCNOOC(00883)の3%高をアンダーパフォームしている状況。BOCIはペトロチャイナH株の出遅れ感を指摘している。

「Gold and Silver Island」によれば、中国政府は混合芳香族やリサイクル軽油、希釈アスファルトを対象に、早ければ2017年5月にも、それぞれ1トン当たり2100元、1400元、1218元の消費税を課す方針という。これら製品はその他の化学品とブレンドすることで、高質のガソリンやディーゼル油を生産することが可能。新たに課税対象となれば、地方の民営企業による税逃れが難しくなり、業界全体の公平性が担保される見込み。ペトロチャイナの精製事業にとっては有利と言える。

経営陣が事前に発表した見通し通り、同社の17年1-3月期純利益は50-60億元に達する見込み(中国会計基準)。前年同期の138億元の純損失から大幅な業績改善となる。また、この利益額はBOCIの17年通期予想の12-14%に相当する。

同社は4月6-7日、上場来初めて“コポレート・デー”を企画。この場で各事業の先行き見通しを明らかにした。それによると、経営陣はOPECの減産継続を前提に、石油の需給引き締まりを見込み、17年下期に原油相場が上向くとみている。一方、自社の油田・ガス田の自然減が年間5-10%のペースで進んでいると報告。単純に生産量を維持するだけで、毎年1000億元規模の投資が必要となる見通しを示した。

筆頭株主の中国石油天然気集団公司(CNPC)はEB債(他社株転換可能債券)の発行を通じて最大100億元を調達する計画。このEB債はCNPCが保有するペトロチャイナA株に転換可能。仮に4月7日終値と同額で全額転換されたとすれば、ペトロチャイナの浮動A株が27%増えることになる。

BOCIが設定した同社H株の目標株価は、SOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)モデルに基づく1株当たり予想NAV(純資産価値)に対して6.1%のディスカウント水準。一方、レーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスク要因として、BOCIは大幅な原油安の可能性、国内の天然ガス需要が予想を下回る可能性――を挙げている。