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 米連邦準備制度理事会(FRB)は、年に8回開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち3、6、9、12月に開く会合で、FOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表しています。米国の政策金利はフェデラルファンド(FF)レートですが、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準を “点(ドット)”の分布で表現したグラフは『ドットチャート』と呼ばれ、将来の政策金利の動きを予測するうえでの判断材料とされます。

 

【ポイント1】2018年12月開催のFOMCで0.25%の利上げを決定

全会一致の決定

 FRBは2018年12月18日、19日に開催したFOMCで、市場の予想通りFFレートの誘導目標レンジを0.25%引き上げ、2.25%~2.50%とすることを決定しました。全会一致の決定です。

 

【ポイント2】政策金利の予測値を下方修正

19年の利上げ予想回数は3回から2回に修正

 FOMC参加者によるFFレート予測値の分布を示す『ドットチャート』からは、18年9月時点に比べ、予想の中央値(数値を小さい順に並べた時、中央に位置する値)が全体的に下方に移動しているのが見て取れます。

 まず19年末は3.13%から2.88%、20年末および21年末は3.38%から3.13%に引き下げられました。FOMC1回当たりのFFレート変動幅を0.25%とすると、19年の利上げ回数は3回から2回に引き下げられたことになります。続く20年は前回18年9月時点と同じく1回の引き上げが想定され、そこで利上げは打ち止めとなる見込みです。

 右図には示されていませんが、景気を刺激も抑制もしない、いわゆる中立金利に相当する長期の均衡値も、3.00%から2.75%に下方修正されました。

 

【今後の展開】実際のFFレートは下方修正された『ドットチャート』より低くなる公算

 18年12月に開催されたFOMCの議事要旨は、経済および政策金利見通しを下方修正した背景のひとつとして、株価の急落や、社債と国債の利回り格差拡大といった金融市場の不安定化、金融環境の引き締まりを挙げました。

 景気の下振れがやや急速に進み、金融市場の動揺が著しいことを考慮すると、実際の利上げ経路は下方修正された今回の『ドットチャート』が示す水準よりも、さらに低くなる公算が大きく、19年の利上げは年後半の1回にとどまると予想されます。