いよいよ2019年がスタートしました。年明け初回は、激動だった2018年の振り返りと2019年の日本株の展望について話したいと思います。

 

激動だった2018年の日本株を振り返る

 明けましておめでとうございます。本コラムもおかげ様で連載10年目に突入しました。引き続き、個人投資家の皆様が株式投資で負けないために必要な、実践的な情報発信に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 2018年の日本株は波乱の1年となりました。
 2018年末の日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)、マザーズ指数を2017年末の数値と比べてみましょう。

日経平均株価
2017年末22,764円94銭→2018年末20,014円77銭
下落率 12.1%

TOPIX
2017年末1,817.56→2018年末1,494.09
下落率 17.8%

マザーズ指数
2017年末1,231.99→2018年末812.32
下落率34.0%

 このように、日経平均こそ下落率が12%に収まっていますが、個人投資家の感覚では、おそらくマザーズ指数の下落率の方が近いのではないかと思います。
株価指数で30%超の下落ですから、個別銘柄の下落はもっと大きくなります。1年間で株価が80%以上下落したものが7銘柄、70%以上下落したものは36銘柄に上ります。

 おそらくバイ・アンドホールド(買った株が値下がりしても売らずに持ち続けること)をしていた方は、まともな銘柄を選んで投資していたとしても、1年間で20%~30%ほどの損失になっているはずです。銘柄選びがうまくなければ50%超の損失になっていてもおかしくありません。

 さらには信用取引を使って逆張りをし、損切りをしなければ全財産を失うというケースも生じていると思われます。

 昨年は9月下旬に日経平均株価が27年ぶりの高値となってから10月に急落、それ以外に2月、12月にも急落するなど、極めて難しい年でした。

 これだけ株価が下がっているのですから利益を得るのは物理的に極めて困難です。マイナスになるのは当たり前、どれだけ損失を小さくできたかが問われる年となりました。
 個人的には2018年をマイナス10%以内の成績で終わることができれば、かなり優秀な部類に入るのではないかと思います。

 

多くの市場参加者が感じている「懸念」とは?

 では、2019年の日本株の展望について考えていきます。
 おそらく、筆者だけではなく多くの市場参加者が現時点で感じている懸念があります。それは「国内外の景気がすでにピークアウトしている可能性が高い」ということです。

 株価は、当然ながら景気にある程度連動して動きます。日本株も2012年末のアベノミクス相場開始からすでに6年が経過しています。米国株に至っては、リーマンショックが起きた2008年から10年もの間、株価の上昇が続いています。

 50年、100年といった長期的な期間で見れば株価は右肩上がりになるのでしょうが、10年程度の期間であれば、株価は景気に応じて大きく上下に変動します。

 2019年は、景気後退局面に入る可能性があり、そうなれば当然株価も軟調に推移すると考えておく必要があります。

バブルとバブル崩壊の繰り返しで株価は大きく動く

 もう1つ、近年の株式マーケットで注意しなければならないのが、金融政策の株価への影響です。

 思えば2008年のリーマンショックも、ITバブル崩壊後の金融緩和で2005~2006年ごろにかけ株価が大きく上昇した後の金融引き締めが原因でした。
 現在は、リーマン・ショック後の世界的な金融緩和で株価が大きく上昇したのち、米国が利上げを行い、金融引き締めに動いているという状況です。

 筆者は、金融緩和によりバブルが発生して株価上昇→金融引き締めによりバブルが崩壊して株価急落、という流れがこれからも繰り返される可能性が高いとみています。
 もともと株価が景気に連動して上下に動くことに加え、極端な金融緩和や金融引き締めにより、株式市場がバブル化したり、それが破裂するという形でさらに変動を激しくしているのが実態なのです。

 

株価は業績に先んじて動く

 また、現在は多くの銘柄が高値から株価が大きく値下がりをした状態にあります。これも非常に注意すべき状況です。

株価が上昇から下落に転じるときに、プロ投資家やアナリストも含め、大部分の投資家が陥ってしまう罠が、「業績が良いのに株価が下がって割安になっている」と勘違いしてしまうことです。

 株価が天井をつけて下落に転じると、業績は良いのに株価が下がっている、という現象がしばしば起こります。
 これにより、株価の割安度を計る指標の1つであるPER(株価収益率)が大きく低下し、「非常に割安」な状態にみえます。

 でも、一般的に株価は業績に先んじて動きます。株価下落が「業績の悪化を株価が先んじて織り込んでいる」ならばどうでしょうか? ゆくゆくは実際に業績の悪化が明らかになり、株価はさらに大きく値下がりしていくでしょう。

 

負けないためには株価の波に逆らわないことが最も重要

 現状の日本株をみると、業績は良いのにPERが極めて低い銘柄が数多く生じています。
でもそれらの銘柄は株価が値下がりを続けているのです。
 今までの歴史をみても、この「好業績なのに株価が値下がりして割安に見える」という罠に引っかかって大きく負けてしまう投資家が絶えませんでした。

 では、この罠に引っかからないためにはどうすればよいのでしょうか? 株価の波に逆らわないようにしていれば大丈夫だと筆者は考えていますし、筆者自身もそれを実践しています。

 つまり、業績がどんなによかろうが、株価が値下がりを続けて下降トレンドになっているならばその株は保有しないし新規に買うこともしない、ということです。

 罠にはまってしまうのは、「業績」の方に注目しているからです。そうではなく、「株価の動き」に注目していればよいのです。

 2018年は、業績が良いからと値下がりを続ける株を持ち続けた結果、大きな損失を抱えてしまった個人投資家が続出しました。
 2019年も引き続き難しい相場環境が続くと思われます。もし、2018年にバイ・アンドホールドにより損失が膨らんでしまった、という方は、二度と同じ轍を踏まないようにしてください。

 アベノミクス相場が始まってからの上昇相場しか経験したことのない方も多いと思いますが、本当の下落相場になれば、2018年より激しく値下がりします。それに巻き込まれないためにも、株価が値下がりしている間は安易に手を出さない、このルールだけはぜひ守ってください。そして荒波を小さい傷で乗り切りましょう。