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2018年8月、トルコの通貨リラ急落に端を発した『トルコショック』が起きました。トルコ在住の米国人牧師の拘束問題を契機に、米国との関係悪化が嫌気されたトルコリラは、わずか1日で一時20%近く下落しました。トルコリラの急落は、投資家の心理を委縮させ、リスク回避姿勢が強まったことから、新興国を中心に通貨や株価下落を招き、世界の金融市場を揺さぶりました。
【ポイント1】『トルコショック』で新興国を中心に世界の金融市場が動揺
2018年8月、トルコ在住の米国人牧師の拘束問題をめぐってトルコと米国の対立が激化し、トランプ米政権はトルコへの制裁を発動しました。これを受けたトルコリラは8月10日、一時前日比約20%急落し、過去最安値を更新しました。
トルコリラの急落に伴い、リスクを回避する売りは他の新興国通貨にも波及しました。アルゼンチンペソ、ロシアルーブルやブラジルレアルなどのほか、アジア新興国通貨も下落しました。
『トルコショック』により、世界の投資家の慎重姿勢が広がり、株式への投資を手控える動きにつながりました。影響は新興国だけでなく、先進国を含めた世界の株式市場に及びました。
【ポイント2】トルコ中央銀行の大幅な利上げなどでトルコリラは反発
トルコリラの乱高下が続くなか、トルコ中央銀行は9月13日、主要な政策金利を6.25%引き上げ、24%としました。想定を大きく上回る利上げを受け、トルコリラは反発しました。
また、トルコは米国人牧師を釈放して米国へ帰国させるなど、対米関係修復へ歩み寄りをみせました。米国との緊張関係が緩和に向かうとの期待もトルコリラを支えました。
その後トルコリラは強含みに転じ、『トルコショック』の急落直前の水準を回復して、落ちつきを取り戻しました。
【今後の展開】米利上げ打ち止め観測で新興国通貨の売り圧力が和らぐ可能性も
トルコの7-9月期実質GDPは前年同期比+1.6%と、4-6月期の同+5.3%から減速が鮮明となる一方、トルコリラの下落で輸入物価が上昇し、インフレ率は前年同月比で20%を超えています。足元の為替相場は小康状態にあるものの、政治要因も含め、潜在的な通貨安のリスクをはらんでいます。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は2019年も利上げを継続する構えですが、利上げ打ち止めも視野に入って来ました。資金の米国回帰圧力が弱まり、新興国通貨への売り圧力は和らぐ可能性があります。
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