11月の金融指標、起債加速も企業向け融資は引き続き低調
中国人民銀行が発表した最新金融統計を見ると、11月の人民元建て新規融資(貸出残高の月間増加額)は1兆2,500億元と、前年同月を1,300億元の幅で上回り、市場予想から上振れた。全体の伸びを支えたのは手形融資の拡大で、11月は前年同月比1,956億元増となる2,341億元。新規の世帯向け貸し付けも355億元増の6,560億元に達した。一方、一般の企業融資は前年同月を1,418億元下回る3,423億元。短期と中長期の貸し付けがそれぞれ337億元、980億元縮小した。BOCIは民営企業・中小企業向けの支援を強化する政府方針に、大手を中心に金融機関が応え始めたとの見方。ただ、融資額は小さく、統計値全体の伸びを押し上げるには至らなかったとみている。一方、実体経済の流動性を示す中国独自の指標、社会融資総量(TSF)の増加額は11月に1兆5,200億元。前年同月比で3,950億元縮小したが、市場予想をやや上回った。主に債券発行規模が予想から上振れたためで、民営企業による起債が容易になった現状を伺わせている。
一方、11月の人民元預金残高は前年同月比7.6%増。前月比で0.5ポイント減速し、1979年以来の低い伸びとなった。公的財政預金は6,643億元減少したが、これは主に減税やインフラ投資向けの財政支出の増加による影響。BOCIは12月の人民元建て新規融資について6,000億-7,000億元を予想し、社会融資総量は1兆元弱になるとみている。
11月にはまた、銀行間金利が上昇する半面、民間融資利率を示す、いわゆる「温州指数」は低下した。民間住宅ローン金利の上昇傾向にも変化が生じ、初回住宅ローンの平均金利(1戸目購入時)は17年以来初めて、前月並みにとどまった。
11月に発行された理財商品(WMP)は1万1637件と、前月比16.1%増。4月以来の高い伸びを記録した。3カ月物、1年物WMPの予想利率はそれぞれ4.34%、4.55%と、1カ月前との比較でそれぞれ0.09ポイント、0.03ポイント低下した。
このほか、最新の情報や政策動向は以下の通り。◇中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が発表した18年7-9月の指標では、国内商業銀行全体の利益成長率が上場銀行(主に大手・中堅)を下回り、資産の健全性や規模拡大などの点で、小規模行がやや不利である現状が示された、◇中国人民銀行、CBIRC、中国証券監督管理委員会(CSRC)は11月27日、「システム上重要な金融機関」(SIFI)に対する監督管理の改善に向けた指針を発表した、◇CBIRCが商業銀行理財子会社に関する管理弁法を発表。理財子会社に対し、自社理財商品などへの投資規制を一部緩和した。
BOCIは銀行セクターのカバー銘柄の18年予想PBR(株価純資産倍率)がわずか0.68倍にとどまる点を指摘し、セクター全体に対する強気見通しを継続した。個別では招商銀行(03968)、中国工商銀行(01398)、中国光大銀行(06818)の株価の先行きに対して強気見通しを維持している。
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