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 2018年の世界経済を振り返ると、米国経済の良好なパフォーマンスが顕著でした。国際通貨基金(IMF)によれば、18年の米国の実質成長率は前年比2.9%と、欧州連合(EU)の同2.0%、日本の同1.1%、先進国平均の同2.4%を上回ったもようです。資金移動も米国への流入が目立ち、まさに『米国一強』と言っても過言ではないでしょう。果たして2019年も、こうした状況が続くのでしょうか?

 

【ポイント1】米国の良好なパフォーマンスが際立った18年の世界経済

先進国の中で群を抜く米国の経済成長率

 2018年の世界経済は、堅調に推移しました。特に目立ったのが米国経済の良好なパフォーマンスです。IMFによれば、18年における米国の実質経済成長率は2.9%となったもようです。EUの2.0%、日本の1.1%、先進国の平均2.4%を大きく上回っています。しかも昨年10月時点の予測値である2.3%に比べ、+0.6ポイントもの上方修正となります。同期間の修正幅はEUが+0.1ポイント、日本は+0.4ポイントですから、成長率の水準、上方修正幅ともに米国が圧倒しています。19年も比較的堅調な展開が見込まれます。

 

【ポイント2】国際資本移動は米国に資金が集中する一極集中型へ 

外国為替市場では米ドル高が進行

 高い経済成長は、米国への資金流入を促しています。直近7-9月期の証券投資(株式、債券)に資金フローを見ても、欧州がネットで616億ドル、日本が同461億ドル、中国が同52億ドルなど、その他アジアを除くすべての地域から米国に資金が流入しています。

 為替市場では、米ドル高が進行しています。通貨の総合的な実力を測る実効為替レートで見ると、ユーロや日本円といった主要通貨のほかメキシコペソ等を含む米連邦準備制度理事会(FRB)の広義ドルベース(月次)で18年11月に128.3と、02年4月の128.5以来の高水準まで上昇しています。資金流入の点からも、『米国一強』と言えるでしょう。

 

【今後の展開】財政拡大効果の剥落等につれ、『米国一強』に変化の公算も

 先行きを展望すると、『米国一強』は近い将来、変化し始める可能性があります。米国と他地域の景気の勢いの差が縮小する公算があるからです。財政支出の効果は、あと1年程度続くため、米国の景気はしばらく堅調に推移すると予想されます。しかし、遠からず金融市場は米国について財政政策の効果を織り込んだうえで、19年後半以降、拡大のペースがどの程度で鈍化するのか検討し始めると見られます。

 一方、財政政策を転換した中国や、労働市場の堅調さが目立つユーロ圏の経済は安定的に推移すると見られます。世界経済が拡大基調にあることを踏まえると、米ドルが緩やかにピークアウトしつつ株式等のリスク資産が再評価される展開が想定されます。