先週の結果

先週はファーウェイ副会長逮捕で下げ続け、保釈をきっかけに大幅反発し、再び下落

 中国通信機器大手ファーウェイの副会長逮捕をきっかけに、貿易摩擦激化懸念が高まり、日経平均株価は下値を試す動きとなりました。

 下値ポイントは、まずは11月21日の安値2万1,243円を守れるかどうか、あとは2万1,000円水準が守れるかどうかです。

 結果的に週前半にザラ場で2万1,062円まで下げたものの、ファーウェイ副会長保釈のニュースをきっかけに、日経平均は2日連続で大幅上昇となり、2万1,871円まで反発しました。 

 しかし、冷静になって米中貿易摩擦の根本的な解消とはならないと分かると、週末は▲441円の2万1,374円と3日ぶりに大幅反落で引けました。

 10日(月)は、前週末の米国株式の大幅安を受けて売り先行で始まり、7~9月期のGDP(国内総生産)改定値が下方修正されたことも加わって、一時▲508円の2万1,169円まで下落。終値は▲459円の2万1,219円と目先の下値とした11月21日の2万1,243円を下回って引けました。 次の下値を2万1,000円水準としていましたが、翌日11日(火)は2万1,062円まで下げて▲71円の2万1,148円となりました。

 しかし、12日(水)になるとカナダの裁判所がファーウェイ副会長の保釈を認めたことや中国政府が米国車への関税を15%に引き下げることを検討していると伝えられると、米中貿易摩擦懸念がやや後退。日経平均は+483円の2万1,631円まで反発し、終値は+454円の2万1,602円と3日ぶりに大幅反発しました。 

 13日(木)は、前日の米国市場でも米中通商問題の進展が期待されて株式市場が反発し、日経平均はこの日も大幅続伸。一時+268円の2万1,871円まで上昇し、終値は+213円の2万1,816円となりました。 

 ところが14日(金)は、2日連続の大幅上昇の反動から▲177円の2万1,638円で寄り付き、いったん下げ渋るものの、再度、軟化して下げ幅拡大で▲462円の2万1,353円まで下げ、その後は日銀のETF(上場投資信託)買い期待もあって下げ渋ったものの、大引けにかけては安値圏で推移し、▲441円の2万1,374円で引けました。

 一方、米国市場は14日(金)、アジア、欧州の株式の下落の流れを受け、また、経済指標の悪化を嫌気して、全面安となりました。NYダウ平均株価は▲496ドルの2万4,100ドル(ザラ場24,033ドル)と5月3日以来7カ月ぶりの水準まで下落し、10月3日につけた史上最高値からの下落率は約▲10.5%。ナスダック総合指数は▲15.0%、S&P500指数は▲11.6%と3指標そろって調整相場入り。シカゴの日経先物は▲75円の2万1,225円でした。

 

今週の予想

今週は、2万1,500円水準を中心に上下動の可能性

 今週も先週に引き続き、米中貿易摩擦の行方、国際的な政治情勢の動きに反応することが想定されます。

 米中問題は貿易不均衡を巡る対立からハイテク分野の覇権争いに発展しており、日本の企業活動にも悪影響が及ぶ懸念があります。また、英国はEU(欧州連合)離脱合意案の議会承認が難航しており、ヨーロッパへの政治的、経済的懸念が心配されています。

 そして金融面では、18~19日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、12月利上げについて株式市場は織り込んでいるものとみられており、問題は19日行われるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長会見での、来期経済観測からの利上げの行方にあります。利上げ観測が後退すれば、日米金利差の縮小から為替相場は円高・ドル安に振れて日本株式にとっては重荷となってきます。

 まず目先の日経平均は、12月11日の2万1,062円を守れるどうかに注目です。今のところ10月26日の2万0,971円に対する2番底の形で、2万1,062円を切ると2万0,971円を割ってくる可能性があります。そのために米国株式に注意が必要です。先週末の米国株式は、目先のダブル底を下切って7カ月ぶりの安値水準となっているため、調整局面入りも考えられます。そうなると日経平均の戻りも限定的となり、今年は12月13日の戻り高値2万1,871円を超えられるかどうかとなります。まずは2万1,500円水準が一つ目の上値ポイントとなりそうです。

 17日は、先週末の大幅安の反動から買い先行で始まり、2万1,363円を安値に2万1,563円まで上昇するものの、その後は2万1,500円水準を中心にもみ合い、終値は+132円の2万1,506円で引けました。日経平均に連動する指数の上昇が中心となり、値下がり数は1420と小型株中心に多い状況。FOMCを控えて今後の利上げ状況が気になるため、後場は様子見気分となり値幅は小さくなりました。

(指標)日経平均

 今週、週前半は2万1,062円まで下げて、その後ファーウェイ副会長保釈のニュースをきっかけに2日連続の大幅反発となって12月13日(木)には2万1,871円まで上昇しました。しかし週末の12月14日(金)には大幅上昇の反動からの利益確定売りと時間外での米株価先物の大幅下落を嫌気し▲441円の2万1,374円で引けました。

 今週も米中貿易摩擦の行方や海外政治の動きに左右される状況が続くと思われる中で、18~19日にFOMCが開催されます。12月利上げは織り込み済みとみられますが、19日のパウエルFRB議長会見での来期の経済見通しがポイントとなります。ここで米国の利上げ見通しが後退すれば、日米金利差縮小からドル安・円高の流れとなり日本経済にとっては重荷となるからです。

 今週はチャート的には12月11日の2万1,062円を守れるかどうかとなります。2万1,000~2万1,500円のレンジで2万1,500円水準でもみ合って戻りを試せば、12月13日の2万1,871円が上値ポイントとなります。

 

 (指標)NYダウ

 今週は週前半もみ合った後、中盤にはファーウェイ副会長の保釈や中国の産業政策の修正を受けて、米中貿易摩擦がやや後退し、NYダウは2日連続の反発。しかし、それも一時的で週末の12月14日(金)は前日のアジア株安、欧州株安の流れを受け、NY株式は全面安となりました。NYダウは5月3日以来7カ月ぶりの水準の▲496ドルの2万4,100ドルとなり、10月3日の史上最高値2万6,951ドルからの下落率は約10.5%となりました。

 チャートを見て分かるように、下値を切り上げ直角三角形(C)の保ち合いを下放れし、同時に10月29日の2万4,122ドル、12月7日の2万4,284ドルと2点底となっていたところを下に切りましたので、本格的な調整入りを示しています。次の下値ポイントは4月2日の2万3,344ドルですが、ここを切るとトランプ相場のいったんの終わりとなります。当面は、24,000ドルをはさんだもみ合いが想定され、その後2万4,000~2万6,000ドルの大きなボックス相場となる可能性があります。

 今週は、値動きが激しい可能性があります。18~19日にFOMCが予定されており、現時点では利上げの可能性が高いものの、足元の長期金利の低下などを受けて見送られるとの見方も一部に出ており、混乱する可能性があります。また、年末のため節税目的での含み損の確定が増える一方で、「1月効果」という12月から1月にかけて株価の上昇が統計的に高くなることが知られていますので、買いも入る可能性があります。ただし、チャートの形は悪くなっていますので、2万3,500ドル水準を下値にもみ合う展開が考えられます。

 

 (指標)ドル/円

 今週の週始めは、日経平均や上海株式の大幅下落を嫌気したリスク回避の円買いで1ドル=112.24円までの円高。しかし、その後はファーウェイの副会長の保釈が決定されたことで、米中貿易摩擦懸念が後退し円高が一服しました。週末の12月14日(金)は米国株式の大幅安を受けて、再びリスク回避的な円買いとなり、113.22円まで下落し113.39円でドル/円は引けました。

 今週は、112.5~114.5円のレンジでのもみ合いが想定されます。18~19日にFRBはFOMCで今年4回目の政策金利引き上げに踏み切る見込みですが、そうなると追加利上げの織り込みが進むとみられます。しかし、その後の利上げ継続期待が低下した場合、ドル買いは縮小する可能性もあります。2020年までの利上げシナリオが引き締めのペースを緩めるとの思惑が広がっており、ドル買いはやや後退する可能性があります。