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 中国国家統計局は、11月の主要な経済指標を発表しました。14日には、固定資産投資、鉱工業生産、小売売上高、15日には、主要70都市の新築住宅価格動向が公表されました。生産と消費の指標は、『中国経済』の減速傾向が一段と鮮明になってきたことを示しました。米中貿易摩擦の長期化が見込まれるなか、近く開催予定の、来年の経済政策の基本方針を決定する「中央経済工作会議」が注目されます。

 

【ポイント1】鉱工業生産、小売売上高は減速

固定資産投資は伸び拡大

 11月の鉱工業生産は前年同月比+5.4%と、10月(同+5.9%)から伸び率が縮小しました。自動車 (同▲16.7%)やエチレン(同▲6.2%)の生産が減少しました。

 11月の小売売上高は前年同月比+8.1%と、10月(同+8.6%)から伸び率が更に縮小しました。小売売上高の伸びは15年ぶりの低水準となりました。11月に行われたインターネット通販の大規模セールは好調だったものの、自動車販売などが低迷しました。

 1~11月の固定資産投資は前年同期比+5.9%と、1~10月(同+5.7%)から伸び率が拡大しました。固定資産投資の内訳をみると、1~10月に上向きに転じたインフラ投資の伸びは横ばいでした。

 

【ポイント2】住宅価格は上昇続く 

11月の上昇都市数は減少

「70都市の新築住宅価格」を一人当たり所得で加重平均したベースで全体をみると、11月は前月比+0.88%と、10月(同+0.84%)から伸び率が拡大しました。

 ただし、主要70都市のうち、前月比で価格が上昇したのは63都市と、10月から2都市減りました。

 

【今後の展開】中央経済工作会議が注目される

 11月の主要経済指標は、固定資産投資や住宅価格は伸びがやや加速したものの、鉱工業生産や小売売上高が下振れし、全体としては減速傾向が鮮明になりました。14日の経済指標の発表を受けた、中国株式市場の上海総合指数や日経平均株価は、『中国経済』の下振れ懸念を嫌気し、下落しました。

 来年の経済政策の基本方針を決定する「中央経済工作会議」が19日にも開催される見通しです。米中の貿易摩擦が激化するなか、景気下支えのため、減税や財政支出拡大などの景気対策が議論されるとみられます。また、米中首脳会談で米国との貿易協議を来年2月末までの90日間で行う合意をしているため、米国との貿易交渉へ臨む方針なども確認されるとみられ、注目されます。