「消費国」に焦点を当てて「パラジウム」を解説!
コモディティ(商品)とは私たちの身近にあるエネルギーや資源、貴金属、牛肉や豚肉、大豆や穀物などの食料資源などのこと。実は身近な「コモディティ」についての知識が増えれば、コモディティの値動きに影響を受ける株式投資のことも、もっと分かるようになります。
今回のテーマは貴金属の一つ「パラジウム」。主に産業分野で用いられるほか、宝飾品にも用いられています。今回は「パラジウム」の消費国(地域)について解説していきます。
コモディティ☆クイズ「パラジウムの消費国、世界1位は?」
パラジウムの消費は産業ジャンルがほぼ9割
パラジウムは、宝飾用や投資用としての消費はあまり多くなく、消費の96.5%が産業ジャンルで消費されています。
産業ジャンル中でも、最も消費が多いのが「自動車排ガス浄化装置向け」で、消費の77.8%が消費されています。パラジウムは、プラチナと同様に白金族(PGM:Platinum Group Metal)の一つで、性質もプラチナと非常に似ています。そのため、プラチナと同様に、自動車排ガス浄化装置向けの消費が非常に高いのが特徴です。
自動車排ガスジャンルは中国がトップ!
その「自動車排ガス浄化装置向け消費」の消費国ランキングは、1位:中国25.9% 2位:北米24.6% 3位:欧州 23.3%でした(2017年)。
1位の中国が4分の1以上を消費しています。また、先進国が集まる北米・欧州という、モータリゼーション(主に自動車文化の普及)が進んでいる地域での消費が多いでことが分かります。
宝飾品ジャンルは欧州がトップ!
パラジウムの宝飾用消費トップ3は、歴史的に宝飾品を重用する欧州諸国が消費の半分を占めています。
昨今では、中国での宝飾用消費の減少が目立ち、宝飾向け消費のブームが去ったように感じられます。
「パラジウム」投資で覚えておきたい注意点!
自動車排ガス浄化装置向けの消費において、中国が2016年に北米と欧州を抜き、ついに1位になりました。北米は緩やかに増加中です。近年、特に欧州では自動車排ガスへの規制の動きが強まっており、EV(電気自動車)などの代替自動車へのシフトが進んでいますが、今のところ、欧州における自動車排ガス浄化装置向けのパラジウムの消費は減少せず、横ばいとなっています。
価格動向に影響を与える消費面の動向は、宝飾向け消費が大きく減少したことを念頭に置きつつ、中国での自動車排ガス浄化装置向けの消費が今後どれだけ増加し続けるか、がポイントであると言えます。
「パラジウム」投資の注目ポイント
金(ゴールド)、銀、プラチナと比較すると、パラジウムの上昇が突出していることが分かります。
これは、金であれば米国の利上げ、銀であれば長期的な消費減少傾向、プラチナであれば2015年9月に発覚したフォルクスワーゲン問題に端を発した欧州での自動車排ガス浄化装置向け消費の減少懸念など、金・銀・プラチナが個々に比較的大きな下落要因を抱えていることが背景にあります。
一方のパラジウムは先述のとおり、中国での自動車排ガス浄化装置向け消費が堅調に増加していることが、背景にあるとみられます。
4つの貴金属の中で最も勢いがあるのがパラジウムです。勢いを伴って上昇している点は大きな魅力に映るかもしれませんが、その分、下落するリスクをはらんでいるとも言えます。
その意味では、もしパラジウムに投資をするのであれば、貴金属投資に用いることができる資金の一部で投資をする、というスタンスが有効だと筆者は考えています。
「パラジウム」は今いくら?現在の価値
国際的なパラジウム価格の指標であるドル建ての先物価格は、長期的に見ればこの10数年間の高値水準で推移しています。
「パラジウム」の投資商品例
日本でも個人投資家が投資できる、ETF(上場投資信託)、商品先物の2種類を紹介します。
【ETF(上場投資信託)】
証券会社に口座を持っている人に便利。株を取引きするのと同じようにパラジウムの取引ができる。パラジウム関連のETFは原則パラジウム価格に連動するように設計されている。長期保有も短期売買も可能。
【商品先物】
レバレッジをかけた短期売買ができる。(売買高が少ないことある点に注意)
※ETF(上場投資信託)、商品先物においては、各取引を扱う証券会社等によって、パラジウムを現物にして手元に置くことができない場合があります。
>>国内商品先物の取扱銘柄 > パラジウム
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