先週は三角保ち合いの煮詰まりを想定したが、北朝鮮リスクで下放れへ

先週の予測

 前週の4日(金)の米国の強い7月雇用統計を受けて、ドル高・株高で始まることが想定。ただし、トランプ大統領のロシアゲート疑惑などの政治リスクもあり、ドル高・円安は限定的なものとなり、これまでと同じように1万9,900~2万300円の中でのもみあいが続くとしました。


 チャートを見ると大きくは1万9,755円を安値(6月15日)とし、2万318円(6月20日)を高値とするレンジの中にある。小さく見ると7月27日の2万176円を高値とし、7月31日の1万9,891円を安値とする小さな三角保ち合いを形成し、これが煮詰まって材料次第で、上か下かのどちらかに放れる状況にあるとしました。

結果

 トランプ大統領の北朝鮮への警告をきっかけに米朝応酬合戦となり、地政学的リスクが高まってアジアを中心に世界的株安となりました。 日経平均株価は9日(水)には▲257円の1万9,738円と三角保ち合いを下放れし、さらに連休中の11日(金)の米国のシカゴ日経先物は▲315円の1万9,395円まで急落しました。

 7日(月)は、4日(金)の強い雇用統計を背景に、米国株高、円安(110円近辺から111円近辺へ)を受けて、+106円の2万59円で寄り付き。2万85円まで上昇して高値圏でもみあったものの、+103円の2万55円と3日ぶりの反発となり、TOPIX(東証株価指数)は年初来高値更新となりました。 


 しかし、8日(火)になると、朝方は買い先行となって2万76円まで上昇したものの、新規の材料に乏しいことで利益確定売り優勢となって▲59円の1万9,996円と2万円割れで引けました。
そして、引け後の米国市場では、メディアが「北朝鮮が小型化した核弾頭の製造に成功した」と報じると、トランプ大統領は北朝鮮に警告を発し、北朝鮮もそれに対して攻撃的なコメントをするという応酬合戦となり、地政学的リスクが高まりました。

 9日(水)の日本市場は、大幅下落となり、▲257円の1万9,738円となって三角保ち合いを下放れ。目先の下限とした6月15日の1万9,755円も下に切って柴田罫線による分析ではで売り転換となりました。

 3連休前の10日(木)は、前日の下げ過ぎの反動や米国株式の下げが大きくなかったことで買い戻しの動きが出て、一時+91円の1万9,859円まで反発。しかし、上昇は続かず終値は▲8円の1万9,729円と小幅の3日続落となりました。

 10日(木)の米国市場は、米朝の応酬合戦で地政学的リスクが高まり、アジアを中心に世界的株安となり、米国市場も全面安に。NYダウは▲204ドルの21844ドルの大幅3日続落となりました。

 日本市場が休場の11日(金)は、ロシア外務相の「ロシアと中国は危機を解決する方策がある」と発言したことを受け、リスク回避の流れが一服し、NYダウは+14ドルの2万1,858ドルと反発しました。しかし為替が一時、1ドル=108.74円まで下げたのち、109.15円で引けたことで、シカゴの日経先物は▲315円の1万9,395円と大幅下落となりました。

今週は、北朝鮮の地政学的リスクの程度を見極めるところ

 今週も引き続き、北朝鮮をめぐる地政学的リスクがくすぶる展開が続くことになります。特に米朝応酬合戦の中で、北朝鮮が日本の上空を通過して米領グアム島沖に4発のミサイルを発射する計画を表明したことで緊張が高まっています。

 決算発表がピークを通過する中、日米ともに夏季休暇をとる投資家や市場関係者が多く(特に米国は9月のレイバーデーまでは市場参加者は少ない)、商いが増加しない状況では下にブレやすくなります。1万9,900~2万300円のレンジの中、2万~2万200円でのもみあいが長く続いたあと、9日(水)の▲257円の1万9,738円の下放れとなりました。このため、当面は2万円接近で戻り待ちの売り圧力が出てくることになります。

 下値は、地政学的リスクがどこまで高まるかによりますが、基本的に過去の経験則では、地政学的リスクによる株式市場の下落は一時的である場合がほとんどですので、大きく急落すればするほど買いチャンスとみることができます。

 目先のチャート上の下値は、5月18日の安値1万9,449円であり、ここを終値で切ると1万9,000円を試す動きが想定されます。

 また、トランプラリーがスタートした4月17日の1万8,224円から6月20日の高値2万318円までの上昇幅の半値押しが、1万9,300円水準(1万9,271円)です。

 11日(金)のシカゴ日経先物では1万9,295円まで下げています。1万9,449円を終値で守ることができれば、1万9,500円水準で値固めして戻りを試す動きとなります。今後は、1万9,500~2万円のレンジに入ることが考えられます。

 なお、14日(月)は、米朝関係の懸念や円高・ドル安が嫌気され▲184円の1万9,545円で寄り付き、一時▲243円の1万9,486円まで下げました。その後は円高一服と日銀のETF買い期待を支えに下げ渋るものの、戻りは限定的で▲192円の1万9,537円で引けました。
 

(指標)日経平均

先週の予測

 8月4日(金)の強い雇用統計を受けてドルが買われたことで、日経平均も1万9,900~2万300円のレンジの中で2万円を回復する動きを想定。ただし、7月27日の2万176円を高値とし、7月31日の1万9891円を安値とする小さな三角保ち合いとなっており、材料次第で上か下かにふれるところにきているとしました。

結果

 週始めの8月7日(月)こそ+103円の2万55円と2万円台を回復しましたが、8月8日(火)にトランプ大統領が北朝鮮に警告を出したのをきっかけに、地政学的リスクが高まり8月9日(水)には▲257円の1万9,738円と三角保ち合いを下放れし、柴田罫線で売転換出現となりました。その後、米国株式も大幅下落となり8月11日(金)のシカゴ日経先物は▲315円の1万9,395円となりました。

今週の予想

 引き続き、北朝鮮を巡る地政学的リスクがくすぶることになります。北朝鮮が日本の上空を通ってグアム島沖に4発のミサイルを発射する計画を明示したことで何らかの決着がつくまでは、上値は重い状況が続くことになります。

 1万9,900~2万300円のもみあいを下放れしていますので、当面は2万円接近では戻り売りとなります。逆に先週末の8月11日(金)のシカゴ日経先物は▲315円の1万9,395円となっており、日本市場で5月18日の安値1万9,449円を下回り地政学的リスクが高まれば1万9,000円を試す可能性もあります。

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 NYダウはすでに9日連騰し、8日連続の史上最高値更新となっており、高値警戒感が出るところにきており、夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多いためポジションを手仕舞いする動きが出てくるとしました。

結果

 このような状況の中でトランプ大統領が北朝鮮に警告を発し、これを受けて北朝鮮も米国への攻撃を発したことで地政学的リスクが高まり、8月10日(木)には米国株式は全面安となり、NYダウは▲204ドルの2万1,844ドルと大幅続落となりました。週末はロシア外務相の発言を受けて一服し+14ドルの2万1,858円で引けました。
 

今週の予想

 引き続き北朝鮮情勢を注目です。北朝鮮によるグアム島周辺へのミサイル発射計画が明示されたことで、どうなるか結果が出るまでは株式市場は軟調な動きとなりそうです。過去の経験では地政学的リスクを嫌気した株式市場の下落は一時的である場合がほとんどですので、大きく下げれば買い場を探す動きとなると思われます。

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 8月4日(金)の7月雇用統計が予想を上回る強い結果になったことで、ドルが買われ年内追加利上げ観測が浮上しましたが、他の経済指標は強弱マチマチであり不透明であるとしました。トランプ大統領のロシアゲート問題の政治リスクはドル売り要因になるとし、ドルの上値は限定的で110~112円のレンジの動きを想定しました。


結果

 8月8日(火)のトランプ大統領の北朝鮮への警告をキッカケに地政学的リスクが高まり週後半はアジアを中心に世界的な株安となり、リスク回避のドル売り・円買いとなって週末は108.74円までドルが売られ109.15円で引けました。
 

今週の予想

 先週に引き続き北朝鮮と米国の対立の激化が続くことでドルの上値は重い展開となります。まず、先週のドルの安値は108.74円と4月14日の108.55円に近づいており、ここを下回るようだと108円水準が目先のポイントとなります。年内の利上げ観測も後退していることでドルの反発は期待しにくいところです。108~111円のレンジを想定。