執筆:窪田真之

今日のポイント

●14日総務省が発表した日本の4-6月のGDPは前期比年率4.0%増のポジティブ・サプライズ。消費と設備投資が予想以上。4-6月の決算発表が出揃いつつあるが、決算発表と同時に通期(2018年3月期)業績予想を上方修正する企業が多い。景気・企業業績ともに絶好調。

●北朝鮮リスク・日米の政治不安などを背景に調整した日経平均だが、押し目買いの機会を狙う資金もあり、いずれ2万円に向けて、反発を予想。


日米ともに強い4-6月GDP。日本は前期比年率4.0%増でポジティブ・サプライズ

総務省が14日発表した日本の4-6月実質GDP(速報値)は、前期比年率4.0%増と、事前の市場予想2.4%増を大きく上回りました。2016年1-3月期から6四半期連続でプラス成長が続いています。

日本のGDP成長率の推移(前期比年率) 2012年1-3月期~2017年4-6月期(速報値)

出所:総務省データより作成、ミニ景気後退の判断は楽天証券経済研究所

内訳を見ると、内需が好調で、外需はマイナスでした。内需の中で、消費・設備投資が予想以上に伸びて、GDP成長に貢献しました。消費は、前期比年率で3.7%増、設備投資は同9.9%増と大きく伸びました。

4-6月成長率は、前期比年率で4.0%増ですが、前期比・非年率で見ると1.0%増です。その内訳を見たのが、以下の表です。

4-6月GDPの成長率の内訳(前期比・非年率)

出所:総務省データより作成

先に発表になっている4-6月の米国GDPも前期比年率2.6%増と、13四半期連続の成長となりました。日米とも、景気・企業業績は好調と言えます。

米国のGDP成長率の推移(前期比年率)2014年1-3月期~2017年4-6月期(速報値)

出所:米商務省データより作成


4-6月の企業業績がほぼ出揃いつつある、予想以上に好調

4-6月決算がほぼ出揃いつつあります。好調が予想されていましたが、出てきた数字は、予想を上回っています。東証一部の3月期決算主要841社についてまとめたのが、以下の表です。

東証一部上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前年比)の推移

出所:楽天証券経済研究所が作成

前期(2017年3月期)は、期初(5月時点)の会社予想が中間決算で一度下方修正されましたが、期末にかけて上方修正され、最高益を更新しました。今期(2018年3月期)は、期初予想(前年比5.9%増)が、第1四半期(4-6月期)決算が発表されてすぐ、大幅に上方修正され、+10.5%増と二期連続の最高益更新となる見込みです。円安効果に加え、米国や中国の景気が好調であることの恩恵が出ています。
 

日経平均はいったん反発すると予想

北朝鮮リスクが高まっているとは言え、景気・企業業績が非常に好調であることを考えると、ここから日経平均が暴落するとは考えにくいところです。北朝鮮が暴発して日本が巻き込まれることがなければ、日経平均はいずれ反発し、2万円を回復すると予想します。早ければ8-9月にも2万円回復があると見ています。


ただし、2万円回復後は、再び上値が重くなる可能性があります。上値トライする場合も、2万500円辺りが上限となるかもしれません。株式市場が見ているのは、今の景気ではなく、景気の先行きです。2017年の世界景気が良いのは大方わかりましたが、2018年はどうでしょう? 今、問われているのは、非常に好調な世界景気の持続性だと思います。


また、もう1つ気になるのは、米国のFRB(連邦準備制度理事会)が引き締め方針を維持していることです。9月19-20日のFOMC(金融政策決定会合)で、どのような政策が打ち出されるかが注目されます。