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 米中の貿易摩擦が激しさを増すなか、11月30日~12月1日にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、トランプ大統領と習近平国家主席による『米中首脳会談』が行われる予定です。7月に両国による関税の応酬合戦に突入してから初めてとなる『米中首脳会談』は、今後の対立の行方を左右し、世界経済にも影響を与える可能性があるため、金融市場の焦点となっています。

 

【ポイント1】APECでは米中が対立し、首脳宣言出せず

ペンス副大統領と習主席が批判の応酬

 パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が11月18日閉幕しました。APECでは、米国と中国が経済と安全保障の覇権争いを巡り激しく対立した結果、APECの首脳宣言を採択できずに終わりました。

 APECでは、トランプ大統領の代役のペンス副大統領が対中強硬論を展開し、中国の不公正貿易や中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」の批判を繰り広げました。一方、習近平国家主席は「米国第一主義」を掲げる米国を念頭に、「保護主義」 や「一国主義」を非難しました。

 

【ポイント2】中国側は貿易摩擦改善策を提示

トランプ氏は受け入れず、揺さぶりをかける

 米中の対立が続くなかで、『米中首脳会談』に向けた調整は活発化している模様です。中国は米国に142項目の貿易摩擦改善策を提示しました。

 これに対し、トランプ氏は「完成度は高い」と評価しながら、「重要な4~5項目が残っており、まだ受け入れられない」としています。トランプ氏は『米中首脳会談』が不調に終われば、来年1月からの制裁関税引き上げだけでなく、全輸入品に関税をかけると強調するなど揺さぶりをかけています。

 中国は、ハイテク技術の覇権争いの根幹である、ハイテク産業育成策の「中国製造2025」計画の撤廃は拒んでいるとみられます。

 

【今後の展開】貿易摩擦の行方を左右する『米中首脳会談』に注目

『米中首脳会談』で両国が何らかの合意に達し、貿易摩擦の激化に歯止めが掛かるかが金融市場の焦点となっています。株式市場では、今回の『米中首脳会談』で貿易交渉が大きく進展するとみる向きが少ないだけに、改善の兆しがみえれば相場底打ちのきっかけになる可能性があります。