世界スマホ市場の低調でサプライチェーンに不透明感、 利益見通し下方修正

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ))

株価 情報種類
 55.80HKD
(11/12現在)
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 瑞声科技の18年7-9月期決算は、売上高が前年同期比8.5%減の48億6,900万元、純利益が同29%減の9億7,300万元にとどまった。BOCIは決算発表を受け、18-20年の予想純利益を減額修正。これに伴い、目標株価を大きく引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立に修正した。業界全体の短期的な懸念材料として、市場競争の激化と、スマートフォンのニューモデル投入ペースの減速を挙げている。

 同社の7-9月期決算は市場コンセンサス予想とBOCI予想を下回った。主にハプティクス(触覚技術)および精密機械(RF=高周波機器など)部門の不振によるもので、同部門の売上高は前年同期比22%減の19億元。スマホの機能や設計のアップグレードが進まず、平均販売価格の下落や出荷量減少が響いた。部門粗利益率は38.1%へ、3.5ポイント低下している。ただ、同社経営陣は引き続き、先行きに関して強気。今後はスマホのフルスクリーン設計の浸透が、オーディオディスプレイ・アクチュエータやステッピングモーターモジュールの需要増を後押しするとみている。

 7-9月にはまた、音響部品の売上高も前年同期比1.2%減の25億元にとどまった。取引先であるアンドロイドスマホのベンダー各社による関連部品の調達額が拡大し、同社製のハイエンドSLS(スーパーリニアストラクチャー)製品の採用も増えたにもかかわらず、小幅の部門減収。部門粗利益率は38.6%と、4.7ポイント悪化した。同社はこの先、SLS改良版の製造や中価格帯スマホ市場の開拓を目指す方針。より広範なSLSプラットフォームの採用により、今後は音響部品の売上高および粗利益率が上向くとの見通しを示している。

 一方、光学部品の売上高は7-9月に前年の2倍の1億7,400万元に達した。中国国内の顧客に向けた営業強化が奏功した。同社はプラスチックレンズの需要増に対応するため、18年末までには月産能力を4,000万個に引き上げる計画。また、経営陣によれば、ハイブリッドレンズの生産能力もすでに整い、同社製品の設計は主要取引先から前向きの評価を得ている状況。今後は採算性の改善とハイブリッドレンズの生産性の向上を目指す方針という。

 BOCIは売上高、利益率に関する想定値の引き下げに伴い、18-20年の予想純利益を22-33%の幅で減額修正した。世界的なスマホ販売の伸び悩みや、ニューモデルの投入ペースの鈍化、さらに低価格部品メーカーとの競争激化といったマイナス材料を指摘。同社利益に関する不透明感の高まりを理由に、目標株価の基準となるPERを標準偏差+1から-1に引き下げた。減額修正後の予想EPSや1年のフォワードPER13.2倍に基づき、目標株価を大きく下方修正。株価の先行きに対する見通しを強気から中立に引き下げている。