相場は売り圧力が強い

「米中貿易摩擦」、「米金利上昇」はこの段階では新たな悪材料とは言えないでしょう。相場の上に押し掛かっている「前からある悪材料」と表現した方が良さそうです。この2つを主因として、ジリジリと売りが増え、上値が抑えられることによって投資家の多くが株価の動きに「異変」を感じ、買いが手控えられる一方で、利益確定売りが急がれた…さらに、足元の四半期決算&通期見通しで明らかになった日本企業の業績頭打ち傾向もそれに拍車をかけている構図です。

 10月11日には日経平均が915円安と急落しましたが、その後も423円安(10月15日)、604円安(10月23日)、822円安(10月25日)と大幅安がそれほど日を置かずに示現しています。もちろん大幅反発となる日もありました。463 円高(10月31日)、556円高(11月2日)、401円高(11月8日)などがそれに該当しますが、それでも日経平均が上方に向かっていないのですから、売り圧力の方が強いことが分かります。

 トレンド、特に短期的なそれを感じるのはこのような株価の現実からだと考えます。少し戻れば売りが出ている時は、投資家が強気に傾いているということはないのです。仮に買いに出たとしても、短期売買を前提にする投資家が多くなります。

 

いち早く底値を脱している銘柄に注目

 この局面では買われる銘柄の数は減少します。半面それは、銘柄選別がそれほど難しくないという理解にもなります。各銘柄の動きは、「売られ続けている銘柄」「買われ続けている銘柄」「売られた後戻りを試している銘柄」の3パターンに大別でき、後2者が短期売買の対象となりやすいと思われます。ここでは、それらの銘柄、とくに「底離れ」を見せている10万円株をピックアップしていきます。

 相場が好転する時は「大きな材料」、「充分な時間の経過」のいずれか、あるいは両方が必要と思われますが、その際にも真っ先に買われるのは、すでに底値を脱している銘柄ではないでしょうか(売りが少ないと認識されるため)。投資家の多くは、株価の動きそのものに一喜一憂し、幾分失望の方が大きい時です。多くの銘柄の細かな動きをこれまで以上に気にしていくべきでしょう。

 下の銘柄は、株価の直近の動き(底離れ)を基に選出したものです。内需系企業が多くなりました。

逆風時にいち早くリバウンドした10万円株

 株価データは2018年11月19日終値ベース。

 

テーオーシー(8841・東証1部)

 不動産中堅企業です。流通関連賃貸ビルで業界首位、このほか商業ビルも多く展開しています。ホテル向けリネンサプライやランドリー事業、ビル管理関連サービスなど業容は多彩、キャッシュリッチ企業としても知られています。

・テーオーシーの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

日本空調サービス(4658・東証1部)

 独立系の空調設備メンテナンス企業です。設備メンテナンスの設計、施工、設備改善の提案、リニューアル工事まで一貫して手掛けています。病院など新規案件の獲得や既存契約維持でメンテナンス・リニューアル工事が拡大しています。

・日本空調サービスの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

JMS(7702・東証1部) 

 使い捨て医療器具の大手企業です。血液回路・透析装置、透析針に強みを持っています。医療器具に関連する銘柄は足元の市場でも株価が堅調に推移するものが目立ちます(例:ニプロ[8086]朝日インテック[7747])。 

・JMSの日足チャート 

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

豆蔵ホールディングス(3756・東証1部) 

 システム再構築の豆蔵、ソフト開発のオープンストリーム、半導体装置保守のJMテクノロジーが中核となる持株会社です。システム再構築コンサルが保険や建機を中心に好調、さらにAI、RPA(業務自動化)案件が伸びを見せています。

・豆蔵ホールディングスの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

進学会ホールディングス(9760・東証1部)

 北海道地盤の進学塾。集団指導塾「北大学力増進会」が主力です。城南進学研究社、学研HDと資本業務提携をしています。スポーツクラブ運営も手掛け、事業内容に「資産運用事業」の項目がある多角化企業です。

・進学会ホールディングスの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)