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英国は、2016年6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱(『Brexit』)を選択し、現在離脱交渉を進めています。英国は、2019年3月末にEUから離脱する予定ですが、企業活動や生活への影響を緩和するために、2020年末までを移行期間として設けるとしています。EU離脱の期日が迫る中、これまで停滞していた英国とEUとの交渉はここにきて新たな展開を迎えています。
【ポイント1】暫定合意された離脱協定案を英国政府が閣議了承
EU側は、英国の閣議決定を受けて、臨時のEU首脳会議を開催予定
今週、英国とEUは『Brexit』を巡る離脱協定に関する文書を交渉官レベルで暫定合意しました。そして、英国政府は14日に臨時閣議を開き、この離脱協定案を閣議了承しました。EU側は、英国の閣議決定を受けて、臨時のEU首脳会議を開く見通しとなりました。EU首脳会議は11月25日にも開催されると見込まれています。
【ポイント2】来年3月以降も当面は関税同盟に残留
アイルランドとの厳しい国境管理を回避
『Brexit』の交渉において、最大の懸案事項とも言われてきたのが北アイルランド(英国)とアイルランドの国境問題です。北アイルランドとアイルランドは陸続きです。過去には北アイルランドの帰属をめぐって紛争が起こり、多数の犠牲者が出ました。現在は、国境線には管理施設などは無く、行き来が完全に自由なものとなっています。離脱協定案では、アイルランドの国境管理問題の解決を最優先することが盛り込まれました。
英国は2019年3月にEUを離脱した後、2020年末まで移行期間に入り、将来の貿易関係の締結を目指しますが、移行期間中に新しい協定が締結できない場合の予防措置として、英国がEUの関税同盟に残留することが盛り込まれました。これにより、少なくとも英国がEUの関税同盟に残留している間は、アイルランドとの国境で厳しい管理をしなくて済むようになります。
【今後の展開】月内のEU首脳会議を経て、英国議会採決を目指す
今月25日にも開催が見込まれるEU首脳会議で、今回の離脱協定案について正式にEU加盟各国の承認が得られれば、英国政府は下院での採決を目指し、その後欧州議会の承認を得る流れが見込まれます。しかし、仮に英国議会で離脱協定案が否決された場合には、再びの国民投票や離脱日延長の申請、EUとの再交渉、さらには保守党党首の交代や総選挙の可能性も考えられます。EUとの合意無き『Brexit』は一旦回避されたものの、当面メイ首相は難しい舵取りを続けることが迫られます。
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