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 国内総生産(GDP)は、国内で一定期間にどれだけの財やサービスが生み出されたかを示し、経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられます。中でも、物価変動の影響を取り除いた『実質GDP』が注目されます。2018年7-9月期における日本の『実質GDP』成長率は自然災害などによる一時的な要因から、前期比▲0.3%と、2四半期ぶりにマイナスとなりました。

 

【ポイント1】2四半期ぶりのマイナス成長

内外需ともマイナス成長

 2018年7-9月期の『実質GDP』成長率(速報値)は前期比▲0.3%(前期比年率▲1.2%)となり、2四半期ぶりにマイナス成長となりました。市場予想(ブルームバーグ集計)は、同▲0.3%(同年率▲1.0%)でした。4-6月期は同+0.8%(同年率+3.0%)でした。生活実感に近い名目GDP成長率は同▲0.3%(同年率▲1.1%)でした。

『実質GDP』成長率の同▲0.3%のうち、寄与度は個人消費などの内需が▲0.2%、輸出の減少から外需は▲0.1%となりました。

 

【ポイント2】個人消費は▲0.1%

輸出は▲1.8%、輸入は▲1.4%

 内需の内訳をみると、7月の西日本豪雨や9月の北海道胆振東部地震など、自然災害が重石となったことで、個人消費が前期比▲0.1%と2四半期ぶりに減少しました。設備投資も同▲0.2%と、前期が高い伸びだった反動もあり、8四半期ぶりに減少しました。

 輸出入についても、台風被害で関西空港が一時機能停止したことなどから、輸出が同▲1.8%と5四半期ぶりにやや大きく減少、輸入についても同▲1.4%と4四半期ぶりに減少しました。

 

【今後の展開】自然災害の重石がなくなり、10-12月期は持ち直しが期待される

 7-9月期のマイナス成長については、自然災害が重石となりました。10-12月期は、災害の影響が剥落することで、成長率は再びプラスへと持ち直し、景気の回復基調が継続すると見込まれます。

 ただし19年3月期決算企業の上期決算は、米中貿易摩擦を受けて中国での設備投資が見合わされたことや、関税の影響によるコスト高などから業績モメンタムがやや鈍化する結果となりました。米中貿易摩擦の影響等による企業の生産・投資活動の慎重化を通じた景気へ及ぼす影響には、警戒が必要とみられます。