10月の販売台数は3%増、向こう3-4カ月は低成長持続か

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類
 16.20HKD
(11/7現在)
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 吉利汽車の10月の自動車販売台数は前年同月比3.1%増の12万8,986台と、9月の同14.3%増から減速し、ほぼ市場の予想の範囲内だった。前月比では3.7%増。主力の「吉利」ブランドについて、BOCIは需要減退と在庫の増大が響き、新型モデルの販売増ペースが旧モデルの販売減を補うには至らなかったとの見方。一方、ボルボとの合弁会社が手掛ける「Lynk & Co」ブランドに関しては、生産力のひっ迫(2.0Tエンジンやバッテリーなど)が引き続き影響したとみている。前年実績の高さや在庫調整圧力から、この先数カ月にわたって低成長が続くと予想。販売見通しの下方修正に伴い、18-20年の利益見通しを5-6%減額修正した。また、需要や政策面の不透明感から、向こう3カ月ほど同社株の不安定な値動きが続くとの見方。しかし、株価の先行きに対する強気見通しは継続している。

 10月の販売台数は前年同月比3.1%の小幅増だったが、それでも国内の乗用車販売全体(同12%減)に比べれば堅調。ブランド別では、「吉利」が前月比3.8%増、前年同月比では9.1%減。7-9月に投入したニューモデルの貢献が限られる一方、「博越(Boyue)」(前年同月比32.8%減)、「帝豪EC7」(28.2%減)などの旧モデルが大きく販売台数を落とした。一方、「Lynk & Co」は前月比2.2%増の1万5,207台。1-10月では年初の市場予想を下回る10万2,308台だった。経営陣によれば、19年前半に自前のエンジン工場が稼働するまで、供給不足の影響が続く見通しという。ただ、BOCIは引き続き、長城汽車(02333)の「WEY」、広州汽車集団(02238)の「伝棋(Trumpchi)」といったハイエンドの国産ブランドとの比較で、「Lynk & Co」を有望視している。

 同社の1-10月の販売台数は126万5,844台で、通期目標158万台の達成率は79.1%。BOCIは「目標達成は可能」とするが、18年の予想販売台数を165万台から158万台に下方修正した(うち「吉利」は150万台→144万5,000台)。19年も200万台から190万台に修正。需要の自律回復の程度や新車購入支援策が新車市況を左右するとしている。

 BOCIは18-20年の予想純利益を5-6%減額し、132億元、160億元、189億元に設定した。現在株価の18年、19年予想PERは9.7倍、8.0倍。李書福会長による自社株式オプションの取得が(約8,500万株、行使価格13.7-14.8HKドル)一定の支援材料になるとしつつ、19年3月ごろまで販売台数の伸び悩みが続くと予想。さらに当局が今後導入する見通しの新車購入支援策も内容やタイミングなどの点で不透明感があるとし、支援策が導入されなければ、向こう数カ月間、同社株価は13-18HKドルのレンジで推移する可能性が高いとした。ただ、高値からの下落率がすでに40%を超えたことから、市場はほぼ、ファンダメンタルズ面の悪材料を消化したとの見方。12カ月目標株価(19年予想PER12倍)を据え置き、株価の先行きへの強気見通しを継続した。