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『オフィスビル空室率』や平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃に公表しています。2012年には9%台だった東京都心5区の空室率は2%台まで低下しました。空室率の低下に伴い、平均賃料も緩やかながら上昇基調にあり、極めて良好な需給環境が続いています。2020年にかけて、新築ビルの大量供給が予定されています。空室率と平均賃料に及ぼす影響が注目されるところです。
【ポイント1】10月の都心5区の『オフィスビル空室率』は低下
既存ビル、新築ビルの空室率はともに低下
11月8日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の10月の『オフィスビル空室率』は2.20%でした。前月に比べ▲0.13ポイント低下しました。月次データの残る2002年1月以来で最低水準の空室率となりました。
10月の新築ビルの空室率は同▲0.81ポイントの4.18%、既存ビルの空室率は同▲0.13ポイントの2.13%でした。新築ビルの空室率は大規模ビル1棟を含めた5棟の新築ビルが、満室やおおむね高稼働での竣工となったことなどから、低下しました。既存ビルの空室率は新築ビルへの移転に伴う解約の影響が見られたものの、大型成約の動きもあり、低下しました。
【ポイント2】平均賃料は上昇が続く
58カ月連続の上昇
空室率の改善に伴い、賃料は緩やかながら上昇を続けています。10月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.78%の坪当たり2万597円となり、58カ月連続の上昇となりました。需給が引き締まっている状況にあり、平均賃料は上昇が続いています。
10月の新築ビルの平均賃料は同+1.16%の2万9,403円、既存ビルは同+0.57%の2万286円とともに上昇しました。
【今後の展開】『オフィスビル空室率』は当面は低水準を維持する見込み
年初は、今年から新築ビルの供給が拡大するため、『オフィスビル空室率』の上昇が懸念されていました。ところが、好調な業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要などを背景に低水準の空室率が続いています。オフィス需要の好調を受けて、10月にNTTやオリックスがそれぞれの上場不動産子会社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施して完全子会社とすると発表するなど、不動産事業を強化する動きも出ています。2019、20年も高水準の新規供給が続くため、新築ビルに対する高い需要が維持できるか注目されます。
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