日経平均は、2万1,000円~2万4,000円のレンジ内に留まる

 先週の日経平均株価は、1週間で7円上昇。2万2,250円となり、ほぼ横ばいでした。米中間選挙というイベントを無事通過した安心感から一時2万2,583円まで上昇する場面もありましたが、米金利上昇、貿易戦争、中国景気減速の不安から上値は抑えられました。

日経平均週足:2018年1月4日~11月9日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 2018年の日経平均は、乱高下しつつも、結果的には上へも下へもトレンドが出ず、ボックス圏で推移しています。

 年央(5~8月)は2万2,000円~2万3,000円の狭いレンジ内で推移。年初(1~4月)および秋(9~11月)には狭いレンジから上下に抜け出しましたが、それでも2万1,000円~2万4,000円より広いレンジから大きく抜け出すことはありませんでした。

 2018年の日経平均週足チャートを見ると、下値抵抗線として意識されているのが2万1,000円・2万2,000円、上値抵抗線として市場で意識されているのが2万3,000円・2万4,000円であることが分かります。

日経平均は、当面、2万1,000円から2万3,000円の範囲で推移か

 2018年の日経平均がボックス圏から脱することができないのは、好悪材料がきっこうしていることが原因です。

上値を抑える弱材料

  • 中国景気が失速する
  • 不安米金利上昇の不安
  • 貿易戦争の不安

下値を支える強材料

  • 米景気好調
  • 日本株はPER(株価収益率)・配当利回りから見て割安

 先週は、注目度の高い米国の中間選挙が実施されました。選挙結果は事前のコンセンサス通りでした。上院はトランプ大統領率いる共和党が過半数を維持しましたが、下院では野党である民主党が過半数を獲得しました。いわゆる、「ねじれ議会」となったことで、トランプ大統領の政策推進力は、やや低下する見込みです。

「ねじれ議会」により、貿易戦争が激化するか融和に向かうか不透明ですし、米利上げがどうなるかも現時点で不透明です。「ねじれ議会」の影響については、今後の米政局を見ながら考える必要があります。

 一つ気になることは、世界景気に減速懸念が出ていることです。GDP(国内総生産)規模で世界第1位の米国景気が好調であることが世界景気にとってプラスですが、GDP規模で世界第2位の中国景気に変調の兆しがあることはマイナスです。2019年の世界景気がどうなるか、見極めるのにもう少し時間がかかりそうです。

 米中景況の差が、以下の通り株価指数の動きに表れています。

米国・日本・中国の株価指数(米ナスダック・NYダウ・日経平均・上海総合)の動き:2017年末~2018年11月9日

注:2017年末を100として指数化

 米ナスダックが、相対的に一番強い動きとなっています。米ナスダックは、フェイスブック、アマゾン、グーグル、ネットフリックス、マイクロソフト、アップルなど、世界のITインフラを支配しているIT大手の比率が高いことで知られています。米IT大手は貿易戦争の影響を受けにくく高い成長が見込まれると考えられてきたので、世界の投資マネーが集まる構造が続きました。ところが、ここに来て下げ足を速めているのは、米IT大手に対し欧米で課税や規制を、強化する動きが出ているためです。

企業業績を見ると、2018年は「踊り場」に

 9月中間決算の発表が終盤を迎えつつあります。中間決算発表時に、今期(2019年3月期)の業績予想を上方修正する企業と、下方修正する企業があります。円安効果で、上方修正の方が多いものの、中国関連・設備投資関連株では、下方修正も増えています。2016・2017年と比べると、業績のモメンタム(勢い)が低下しつつあることは明らかです。

東証一部上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比変化率)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 今期(2019年3月期)の企業業績は、「踊り場」となる見込みです。2018年の日経平均がボックス圏で推移しているのは、企業業績が踊り場となることを反映していると、考えられます。

 発表中の9月中間決算につき、明日、さらに詳しく解説します。

 

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