2014年に始まったNISA制度も早5年。非課税期間が終了しロールオーバーが必要な時期になってきました。
 ロールオーバーする場合とした場合、そしてその後の税金はどうなるのでしょうか?

 

NISAの非課税期間は5年

 NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が始まったのが2014年、それから早いもので5年が経過しようとしています。

 NISAを簡単に説明しますと、年間120万円までの非課税枠(2014年・2015年は100万円でした)の範囲内で購入した株式や投資信託につき、5年間は配当金・分配金や売却益が非課税となる制度です。

 したがって、2014年に購入した株式をまだ売却せず保有しているならば、NISA口座で保有ができ、かつ非課税となるのは2018年まで、というのが原則的取り扱いです。

 

2014年に購入した株をロールオーバーするかどうか選択する必要

 実は、NISAには、「ロールオーバー」という制度があります。これは、5年経過によりNISA口座から引き出さなければならない株式を、翌年のNISAの非課税枠を使うことによりさらに5年間延長できる、というものです。

 もし、2014年にNISA口座で購入した株がまだ残っている場合、選択肢としては3つです。
(1)2018年中に売却する
(2)ロールオーバーしない
(3)ロールオーバーする

 2018年中に売却した場合、売却益が生じていれば課税されません。一方、売却損が生じている場合、その損失は切り捨てとなり、通常口座の売却益や配当金との相殺はできません。

また、ロールオーバーをするのであれば、そのための手続きが必要となります。楽天証券の場合、締め切りは2018年12月14日の17時までです。証券会社により締め切りが異なりますので、注意が必要です。
(参考:楽天証券HP 「NISAロールオーバー(非課税期間延長)」

ロールオーバーしないと通常口座に移管される

 ロールオーバーの手続きを何もしなかった場合、証券会社の方で自動的に通常の口座へ移管されます。特定口座を持っている場合は特定口座へ、特定口座がない場合は一般口座へそれぞれ移管となります。

 移管される際の価格は、年末の時価となります。ですから、NISA口座にて100万円で買った株が年末に70万円になっていれば70万円で移管されますし、200万円になっていれば200万円で移管されます。

 つまり、NISA口座で5年間保有していたことによる含み損益が移管により実現することとなります。もちろん、それによる課税はありませんし、含み損だった場合は損失実現により切り捨てとなります。NISA口座での保有中に売却した場合と同じです。

 特定口座、一般口座いずれに移管された場合でも、移管後(2019年~)は、通常と同じ扱いになります。
 配当金や売却益には課税され、売却損は配当金や売却益との損益通算や翌年以降の繰り越しができます。

 

ロールオーバーすると2019年の非課税枠を使うことに

 ロールオーバーした場合、現実的には2019年の非課税枠を使って、2018年末の時価で新たにNISA口座にて株を買うのと同じ意味になります。

 ですから、2014年にNISA口座にて100万円で買った株をロールオーバーする際、2018年末の時価が70万円になっていれば、2019年の非課税枠120万円のうち、70万円を使うことになります。残り50万円は他の株をNISA枠にて買うことができます。
なお、2014年の購入額100万円と2018年末の時価70万円の差額の30万円の損失は切り捨てとなります。

 NISA口座で、買った株100万円が2018年末に200万円になっていた場合、2019年の非課税枠120万円を超えていますが、これも全額ロールオーバーできます。2019年にNISA口座にて200万円で買ったという扱いになります。非課税枠を全部使ったことになるため、これ以外に2019年はNISA口座にて新たに株を買うことはできません。

 ロールオーバーは、これから毎年続きます。今年(2018年)は2014年にNISA口座で購入した株についてですが、来年(2019年)は2015年に購入した株が対象となります。NISA口座で長期的に株を保有し続けている人にとっては、今後年末近くになったら、ロールオーバーするかどうかを検討し、そしてロールオーバーするならば手続きを忘れないようにしましょう。

 次回のコラムにて、具体的な数値を用いてロールオーバーした場合、しない場合の将来の税金の取り扱いや、筆者ならロールオーバーの要否をどう考えるかについてお話したいと思います。