波乱の中で逆行高になった銘柄をチェック

 日経平均株価は10月2日にザラ場で2万4,448円07銭の平成バブル崩壊後の高値を付けて以降、急反落しました。10月26日にザラ場安値2万971円93銭があり、実に3,500円近い値幅で下落しました。この激しい下落の中、逆行高となる銘柄は極めて少ないものでした。この希少な逆行高銘柄について、まず「なぜ、逆行高したのか?」と考えてみます。

  • 全体相場下落を跳ね返すほど内容がいい(業績要因)
  • 売り主体が保有していない(需給要因)
  • 流動性が乏しく全体相場の影響を受けにくい(需給要因)

 業績が良くても売られる銘柄がほとんどでしたので、逆行高の要因は「需給」が大きく左右しているものと想定されます。加えて、株価が高くなる銘柄が少ないことから、その動きが通常以上に注目され、結果的に短期資金を集めた可能性もあります。全体相場を覆う不安感が拭い去れない中では、同様に注目される可能性があると見ています。10万円株の中にも波乱の中で上値を切り上げた銘柄があるのです。

 

逆行高、即時買い直し、波乱時無風の6銘柄

 株価データは2018年11月5日終値ベース。

 

FIG(4392・東証1部)

 タクシー、バスなど運送業者向け移動体管理システムのモバイルクリエイトと、精密金型主力の石井工作研究所を傘下に抱える持株会社。タクシーのカード決済好調など評価ポイント多く、全体相場波乱の中で急動意となりました。

・FIGの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ワタベウェディング(4696・東証1部) 

 ウエディング業界大手、海外挙式サービスの草分け的な存在。国内外のリゾートタイプ施設に加え、雅叙園東京、「メルパルク(旧郵貯会館)」 も傘下に持っています。株価の動きは投機色がやや強いものの、株価水準は切り上がったものと考えられます。

・ワタベウェディングの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

 この他、ほぼ逆行高銘柄と同じような動きをした銘柄も需給要因が良好だと考えられます。いったん売られたものの「すぐに買い直された銘柄」です。需給要因はもともと分かりにくいものですが、大きく売られない、すぐに元の位置に戻るという株価の動きにおいて、想定していくことになります。以下の10万円株はそれに該当するものです。

 

リンクバル(6046・マザーズ) 

 街コンイベントの企画・開催のほか、他社主催も含めた全国の街コン情報を掲載するECサイト『街コンジャパン』などを運営するユニーク企業です。主力の街コンは2019年9月期も他社イベントからの手数料収入増加がけん引し利益率も向上する見込みです。

・リンクバルの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

エスケイジャパン(7608・東証1部) 

 娯楽施設・雑貨店向けキャラクター商品の企画・販売が主力。ゲームセンターのクレーンゲームに投入されるキャラクターグッズやキーホルダーの企画販売が収益の柱。アミューズメント施設向けの「星のカービィ」25周年販促が終わり微減の見通しでしたが、2019年2期通期連結営業利益を上方修正しました。

・エスケイジャパンの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 

 やや異なる視点ですが、「波乱時無風」、つまり全体相場が波乱の中にあって、株価水準がほとんど変化しなかった銘柄も「売りが少ない」という意味で、好需給にあると考えられます。これらは今後の業績動向によって注目度が変化し、株価に影響を与えていくと見ています。

 

宇徳(9358・東証1部)

 港湾運輸の大手企業です。港湾運送、物流、プラント事業などを展開しています。港湾運送は荷役や自動車・建設機械の運搬。物流は倉庫や重量品輸送などが中心です。流動性が高い銘柄ではないため短期筋の投資対象にならず、逆に株価の安定推移につながっていると見られます。

・宇徳の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

幼児活動研究会(2152・JASDAQ)

 私立幼稚園・保育園から体育授業を受託する「正課体育指導」と、終業後の園児を対象としたスポーツクラブの「課外体育指導」が主力の企業です。昨年秋に急伸して以降、高値圏での横ばい推移を継続しています。今回の波乱局面でもその様相に変化はありませんでした。

・幼児活動研究会の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)