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今夏は記録的な猛暑や自然災害に見舞われました。『消費動向』を見ると、これらは夏物商材の需要を高め、農産品価格上昇が販売額の増加に繋がったものの、来店客数の減少を招きました。特に訪日外客数は5年8カ月ぶりの減少となりました。ただし、雇用所得環境が堅調な中、基本的な『消費動向』は底堅いと考えられます。天候は景気を左右する重要な要素の一つですが、今後はどのように予想されているのでしょうか?
【ポイント1】天候に左右された『消費動向』
自然災害の影響により、訪日外客数は5年8カ月ぶりに減少
10月下旬に発表された商業動態統計によると、9月の小売業販売額は前年同月比+2.1%でした。今夏は記録的な猛暑でエアコンや飲料などの需要が強かったほか、西日本豪雨や大型台風などの天候不順により農産品価格が上昇し、販売額の伸びに繋がりました。また、9月はたばこ増税前の駆け込み需要も見られました。一方、頻発した自然災害の影響によって訪日外客数が減少し、インバウンド消費への影響も見られました。
9月の訪日外客数は、前年同月比▲5.3%の216万人でした。前年同月を下回ったのは2013年1月以来、5年8カ月ぶりのことです。台風21号の影響による関西空港の閉鎖や、北海道胆振東部地震の影響による新千歳空港の閉鎖などから、航空便の欠航や旅行のキャンセルが相次ぎました。訪日外国人の約7割を占める中国や韓国など東アジアの旅行者は関西や北海道への訪問も多く、全体への影響が大きくなりました。
【ポイント2】百貨店不振の一方、コンビニでは堅調な需要が続く
インバウンド消費は、大阪での減少を他の地区が補った
小売業の動向を業態別に見ると、百貨店売上高は前年同月比▲3.0%と3カ月連続の減少となりました。自然災害の影響で、多くの店舗で休業や営業時間の短縮が見られました。訪日外客数減少の影響が懸念されたインバンド消費は、大阪での減少を名古屋や福岡など他の地区が補う形で、同+6.3%と22カ月連続のプラスとなりました。
一方、コンビニエンスストアの売上高は同+3.5%と増加しました。天候不順の影響により来店客数は減少したものの、たばこの駆け込み需要や中食の好調さから売上高は前年を上回りました。
【今後の展開】雇用所得環境は堅調、当面は穏やかな天候が続きそう
今夏の『消費動向』は、自然災害の影響を大きく受けたものの、国内では雇用所得環境が堅調なため、底堅くなりました。訪日外客数については、欧米豪では増加傾向を維持しており、政府による観光復興への取り組みもあり、再び増勢に転じると見られます。今後は、気象庁の最新の3カ月予報によると11月~1月は例年よりも暖冬となりそうです。本来それぞれの季節らしい天候となることで消費は促されると考えられます。冬物商材への影響は懸念されますが、穏やかな天気となりそうな秋はレジャー関連の消費増を期待したいところです。
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