地区別・企業別に明暗分ける、個別企業の販売成績や財務に注目

中国不動産セクターでは現在、あらゆる点で「相違」が鮮明となっている。市場別、都市別に政策動向や流動性に対する敏感度が異なり、先行き見通しもまちまちと言った状況にある。BOCIはデベロッパーの好不調の相違も鮮明になるとみて、今後は勝ち組を見極めることがカギになるとしている。有望なのは持続的成長が期待でき、負債を増大させることなく、高ROEを達成できる企業。先行き見通しが個別に異なるとの理由から、セクター全体に対しては中立見通しを継続している。

BOCIによれば、不動産をターゲットとした行政措置はすでにほぼ固まり、今後は流動性政策の変化が市況を左右する見込み。マネーサプライM2以外に、SHIBOR(上海銀行間貸出金利)に代表される市中金利の動きと、不動産市況との相関関係はかなり強く、現在見られるように3カ月物SHIBORが4.5%を超えた場合には住宅ローン金利の上昇を受け、市場が調整する傾向が強い。ただ、流動性引き締めによる影響は都市の規模ごとに異なり、投資需要が小さい上に債務レベルも低い3線などの小都市部では影響は限定的。実際、2013年に金融引き締めが実施された後、14年7-9月期には1線都市で住宅取引が22.6%落ち込んだが、3線都市では10%の減少率にとどまった。

 

中国ではかつて、国内全体を対象とした不動産政策が施行されてきたが、すでに状況は変化。当局は現在、主要都市部で締め付けを行う半面、小都市では逆に支援策を導入している。BOCIは地域ごとに分けた現在の政策方針が大方の予想以上に長く続くとみて、18年下期まで残る可能性もあるとしている。中小都市の不動産市場の復調で、国内経済へのマイナス影響を抑制できることが理由。小都市部では引き続き、バラック街再開発計画(旧住民のマイホーム取得を促進)が住宅需要を底上げするとみている。

政策方針の違いから、現在では1線都市で不動産取引の減少ペースが加速する一方、3線都市ではプラス成長が続いている。物件平均価格も1線都市で下向きに転じたが、3線都市の価格上昇率は2線都市を上回るペースとなった。BOCIは17年下期について、1線、2線都市の物件取引量がそれぞれ前年同期比20-30%、10-15%落ち込むと予想し、3線都市では5-10%の伸びが見込めるとしている。平均価格は1線都市で約5%低下する一方、2線都市では約3%上昇、3線都市では約5%上向く見通しという。

不動産セクターのレーティング引き下げにつながる潜在リスク要因として、BOCIは融資引き締めを受けた一部デベロッパーの資金繰り悪化の可能性を指摘。逆に引き上げ要因として、業界統廃合の加速を背景とした大手の予想以上の成長を挙げた。

個別では、財務が健全で高ROE、販売状況が好調な銘柄を有力視。龍湖地産(00960)をトップピックとし、中国海外発展(00688)にも強気見通しを継続。融創中国(01918)や広州富力地産(02777)には負債比率の上昇などを理由に慎重な見通しを示した。

 

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