キャリア3社の7-9月期決算に慎重見通し、データローミング料廃止が痛手

 BOCIは中国本土の通信キャリアの18年7-9月期決算がさえない内容になるとみている。主にデータ通信ローミング料の廃止(7月1日付)によるもので、これを中国鉄塔(チャイナ・タワー:00788)の新規上場に伴う特別利益が一部カバーする見通しという。前年同期実績は相対的に低いものの、通信キャリア3社の中ではチャイナ・ユニコム(00762)が唯一、増益を確保するとみられ、短期的にはこれが同社株の支援材料となる見込み。ただ、不安定な相場展開の中で、投資家は引き続き、配当面で魅力の大きいチャイナ・テレコム(00728)とチャイナ・モバイル(00941)に目を向ける可能性が高い。BOCIはキャリア3社の株価の先行きに対していずれも強気見通しを示し、チャイナ・テレコム、チャイナ・ユニコム、チャイナ・モバイルの順で選好している。

 3社の中で、データ通信ローミング料の廃止によるマイナス影響が最も小さいのはチャイナ・ユニコム。過去20カ月間の4G新規加入者の多くが、データローミング料を含まないプランを選択したことが理由。BOCIは同社全体の7-9月期のARPU(加入者1人当たり月額料金)について、前年同期比7.8%減の45.2元を予想。モバイルサービ収入については同3.3%増への減速を見込んでいる。

 固定通信最大手のチャイナ・テレコムに関しては、モバイル収入がグループ全体のサービス収入に占める割合は49%。ただ、音声通話やブロードバンドを含む固定通信サービスは現在、厳しい競争環境下にある。

 また、残るチャイナ・モバイルの場合、サービス収入全体に占めるモバイル収入の割合は93%に達しており、データローミング料廃止によるマイナス影響が3社の中で最も大きい。同社のハイエンドユーザーの多くがデータ無料利用枠を増設した4Gプランに加入しているため、ローミング料が廃止となった7月以降は新プランに移行する必要が生じる見込み。BOCIは7-9月の同社のARPUについて前年同期比8%減の56元を予想。モバイルサービス収入は同4%減少するとみている。

 一方、通信キャリア3社はいずれも、8月に香港メインボードに上場した中国鉄塔の株主であり、7-9月期には1度限りの再評価益を計上する見通しとなっている。BOCIはIPO(新規株式公開)前の3社の持ち株比率を考慮した上で、チャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコムの再評価益がそれぞれ20億元、14億5,000万元、11億元に達すると予想している。

 BOCIは通信キャリア3社の7-9月期業績に慎重見通しを示す半面、10-12月期に関しては相対的に強気。通信料金関連の新規制がない限り、大幅な業績悪化は考えにくいとした。通信セクター全体に対して強気見通しを維持し、キャリア3銘柄のほか、中国通信服務(00552)、中国鉄塔の株価の先行きに対しても強気見通しを付与している。