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米『為替報告書』は、米国の財務省が年に2回、連邦議会に提出する「米国の主要貿易相手国のマクロ経済および外国為替政策に関する報告書」のことを指しています。為替介入等によって為替レートを意図的に操作して自国通貨安への誘導を行い、輸出競争力を高めようとする国を牽制することが狙いです。10月17日に公表された最新の報告書では、為替操作国の認定はなかったものの、6カ国が監視対象国とされました。
【ポイント1】引き続き為替操作国の認定はなし
中国、日本など6カ国を監視対象国に指定
報告書によれば、米国の主要貿易相手国・地域のうち、為替操作国に認定するための3つの基準すべてに合致したところはありませんでした。ただし、2つの基準を満たした日本、インド、ドイツ、韓国、スイスの5カ国と、合致した基準は1項目ながら巨額の対米貿易黒字を継続して計上している中国の合計6カ国が、監視対象国に指定されています。
【ポイント2】貿易収支、経常収支、為替介入が為替操作国認定の3条件
中国は巨額の対米貿易黒字が監視対象国に指定された要因
為替操作国に認定するための3つの基準とは、(1)貿易黒字(サービス収支を除く財収支)…過去4四半期合計の対米黒字額が200億ドル以上、(2)経常黒字…同期間における経常黒字額が対GDP比で3%以上、(3)為替介入の有無…為替介入による外貨の買い入れが過去12カ月合計でGDPの2%以上等です。
中国は、基準に合致したのが(1)の対米貿易黒字額のみでしたが、その規模が18年6月までの4四半期合計で3,900億ドルと、他の国を圧倒していたため、引き続き監視対象国リストに加えられました。日本は、(1) と(2)の2項目が基準に合致しました。なお、日本の対米貿易黒字額は700億ドルで、メキシコの730億ドルに次ぎ第3位でした。
【今後の展開】中国には市場開放促進、国家による市場介入の抑制等を要求
トランプ米大統領は、最大の対米貿易黒字国である中国への批判を強めています。今回の報告書では、中国を為替操作国として認定することは見送りましたが、市場開放の促進、国家による市場介入の抑制、市場原理の拡大、家計消費の拡大促進、貿易不均衡の是正に資する抜本的な構造改革の実行等を求めています。
日本については、前回と同様に内需の持続的な拡大の支援、貿易不均衡に資する抜本的な構造改革の実行等を求めています。今後の日米通商協議では、日本が導入に否定的な為替条項(輸出競争力向上のために為替介入等によって自国通貨安誘導を図ることを防ぐ取り決め)の採用を迫られる恐れもありそうです。
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