人気ブログ『いつか子供に伝えたいお金の話』を運営する虫とり小僧さんは2005年に投資をスタート。以来、会社勤めをしながらインデックス投資を続け、着実に成果を上げています。二児の父親でもある虫とり小僧さんに投資に対する考え方や投資スタイルについて聞きました。

 

保険の勧誘をきっかけに投資を始めた

──失礼ながら投資ブロガーの方とは思えないようなハンドルネームですよね(笑)。

虫好きな虫とり小僧さん

 SNSを始めたとき、小学校時代の友人がすぐに気付いてくれるかなと思い、「虫とり小僧」と名付けました。子供の頃、虫好きだったもので。その後、ツイッター、さらにはブログを開設して投資のことを書くようになったのですが、べつに名前を変える必要はないかなと。今は安直だったかなと少し後悔してます(笑)。

 

──2005年、26歳のときに投資を始めていますが、きっかけは?

 その頃、新聞やテレビで「好景気」という言葉が飛び交っていました。でも、自分はその実感が全くなかった。で、本当なんだろうかと思い、試しに日経平均株価をチェックしてみたら、たしかに株価が上昇していました。株を持っている人は好景気の恩恵を受けられてうらやましいなと。ただし、何の知識もない素人が手を出して儲かるほど甘い世界でないのは分かっていましたから、そのときはそれっきりでした。

──それがなぜ?

 あるとき職場の上司に紹介された生命保険の営業マンから終身保険の売り込みを受けたんです。「毎月5万円積み立てると、死亡保障がつくうえ、30年後には積み立てた総額の1.2倍の金額を受け取れます」とのことでした。 

──でも、信用できなかった?

当時のことを振り返る

 そういうわけではないのですが、「なぜそんなに増やすことができるのだろうか」と疑問に思ったんです。調べたところ、集めた資金をさまざまな方法で運用してお金を増やしていることを知りました。

──その後、インデックス投資の存在を知るわけですね。

 株式投資というと特定の企業の株を購入するイメージがありました。それだと好調なときはいいけれど、その企業独自の理由で大損して、二度と株価は回復しない可能性もある。だから、おいそれとは手を出しにくいと思っていました。そんなとき、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、米国のダウ平均などの株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指すインデックス投資というものがあることを知ったわけです。

 例えば世界の主要な株式をほぼ網羅したようなインデックスに投資してしまえば、世の中をリードする優良企業にまとめて投資をして、世界経済の成長を取り込めるわけですから、個別株式への投資よりはリスクが小さくなるだろうと思いました。

──すぐに購入したのですか。

 まずは自分がもし30年前からインデックス投資を行っていたらどうなっていたか、シミュレーションしてみたんです。日本を除く先進国の株式を対象とする「MSCIコクサイ・インデックス」というメジャーなインデックスで計算してみました。そうしたら驚くことに10倍に増えているという結果が出たんです。

 投資タイミングの問題もありますし、保険会社とでは死亡保障などもあるので単純比較することはできませんが、1.2倍と10倍では違いすぎますね。これなら自分で運用したほうがトクなのではないかと思ったんです。

 

8資産均等のバランスファンドがメイン

──それで2005年にインデックス投資を始めたわけですね。

 はい、まずは貯金を崩し、ある程度まとめて購入しました。その後は給与のうちの決まった額を毎月積み立てています。

──投資対象は何ですか?

 国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、海外REITの8資産を12.5%ずつ均等に配分したバランスファンドがメインです。これに先進国株式ファンドと新興国株式ファンドを別途プラスしています。その2つを含めると、先進国株式と新興国株式が20%ずつ、ほかはすべて10%という配分です。

──変更はされるんですか。

 その配分に決めてからはしていません。自動積み立てなので、投資に当てる時間というのもとても少ないんです。たまに証券会社の口座にログインして、残高を確認するくらいで、楽なものです。
 今は、ブログを更新してますし、友人やブロガーさんのブログも見ますから、マーケットの情報は見てますけどね。

──投資を始めた頃もそんな感じですか。

 いえいえ、最初のうちはそうとう時間を費やしてましたね。全くの素人でしたから、投資の専門書などもかなり読みましたし。株も経験はあります。

 インデックス投資のよさは投資額やその配分を調整することで、ある程度リスクをコントロールできることです。もちろん、マーケットの動き自体はコントロールできませんし、バブル崩壊やリーマンショックのようなことが起これば、市場平均も下落するわけですから、大幅に元本を割ることもあり得ます。しかし、世界経済は緩やかに発展し続けるという前提を持って積み立てを続ければ、長期ではそれなりのリターンに収束する可能性が高いのではないかと思うわけです。

 でも一方で、短期間で大きな利益を得るのは難しいというデメリットがあります。業績のいい企業だけでなく悪い企業も含めた平均値に連動するわけですから、個別株投資と違い、気づいたら2倍、3倍になっていたなんてことはありえません。

──それでいろいろと試してみたりもしたんですね。

 これは投資をやっている人なら誰でも経験があると思うのですが、やっぱりチャレンジしたくなるんです。自分なら平均よりいいパフォーマンスを上げられるのではないかと考えてしまう。それで、インデックスよりも高いパフォーマンスが期待できるアクティブファンドを検討したり、日本や海外のETF(上場投資信託)なんかをあれこれ組み合わせてみたりもしました。

 だから、そのころは毎日複数のネット証券にログインログアウトを繰り返したり、海外の市場動向が気になって真夜中に携帯電話でチェックしたりしてました。自分なりの売買ルールや投資スタンスをノートに書き、それを毎日のようにバージョンアップさせるとか、そんなこともよくやってましたね(笑)。

 

ベストを追い求めるのはやめて、シンプルなスタイルに

──でも、結局はバランス型のインデックスファンドに。

 一つ、きっかけがあったんです。当時、僕は職場の同僚などにもインデックス投資をすすめていたのですが、彼らが購入したインデックスのバランスファンドのパフォーマンスを見たら、すごくよかったんです。僕が何百時間もかけて作り上げたポートフォリオを上回るほどでした。時間と労力をかければ、それに見合ったリターンが得られると思っていたのに、必ずしもそうではなかったわけです。それで、あれこれ考えることに虚しさを覚えたというか。これからはシンプルにやろうと思ったんです。

──一攫千金はあきらめた?(笑)

 もともとそんなつもりはなかったんですよ。そもそも会社勤めの身ですから毎日何時間もチャートを見続けるなんて無理ですし、ことさら頭がいいわけでも運がいいわけでもないですし。ところが、そのうち欲が出てきた(笑)。今はそのままどっぷり深みにはまらず引き返して正解だったと思っています。

──ところで、当初はそうとう勉強されたとのことですが、どんな本を読んでいたのですか。

 当時、投資関連の本というと、それこそ一攫千金を狙おうみたいなものが多く、インデックス投資に寄ったものはほとんどありませんでした。だから、マクロ経済、ミクロ経済といった学術的な専門書などもけっこう読みました。難しすぎて、何が書いてあるのかさっぱりでしたね(笑)。

──オススメの本はありますか。

 私が投資を始めたころに読んで非常に参考になったのは、北村慶さんの『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント』ですね。投資が上手な人というのは、こまめに売ったり買ったりしているわけではない。さまざまなアセットクラスを保有し、そのうちのどれかが高騰したら、その一部を売却し、その資金で安くなっているものを買い増すというリバランス作業を機械的に繰り返しているだけであるのに驚きました。それが賢い投資スタンスだと。

 最初、読んだとき、なるほど、そういうことなのかと目からウロコが落ちる思いでした。あと、投資関連の名著といわれる『ウォール街のランダム・ウォーカー』や『敗者のゲーム』も一読する価値があると思います。

──すでに投資を始めてから十数年経つわけですが、ずっと順調ですか。

 いや、そうとはいえません。多くの投資家の方々同様、僕もリーマンショックのときにはかなりの含み損を抱えました。

──後半ではそのあたりをお伺いします。

 

読者へのメッセージ

不思議な魅力あるイラストNo.1

続けることが大事
タイミングを見ず、凝りすぎず、のんびりと続けていると、増えていることが多いのがインデックス投資です。さらに1カ月たったの5分程度でできるんですから、いいですよね。(笑)   後編に続く>>

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