日経平均株価が27年ぶりの高値をつけたと思ったのもつかの間、米国発の「世界同時株安」に巻き込まれて株価は元の水準に。この1カ月間、筆者がどのように日本株へ対処してきたのかをお伝えします。

ここ1カ月の日本株を振り返り

 9月初旬まで軟調な動きが続いていた日本株が一転して急上昇を始めたのが9月中旬。そこから一気に駆け上がった株価でしたが10月初めに頭打ちとなった後、10月11日には大幅安となりました。

 ジェットコースターに乗っているかのような激しい値動きだったここ1カ月間の日本株でしたが、改めて各指数の上昇前の安値と高値、そして先週(10月9日~12日)の安値を振り返ってみることにしましょう。
※なお、本原稿は10月13日に書いていますので、その後の株価の変化については触れていない点をご了承ください。

日経平均株価
安値 22,172円90銭(9月7日)
高値 24,448円07銭(10月2日)
安値 22,323円43銭(10月12日)
 
TOPIX(東証株価指数)
安値 1,673.92 (9月7日)
高値 1,838.30 (10月2日)
安値 1,687.18 (10月12日)
 
マザーズ指数
安値 993.01 (9月7日)
高値 1,086.54 (9月27日)
安値 940.91 (10月11日)

 

個別銘柄は指数以上に値下がりしたものも多い

 日経平均株価やTOPIXはこの1カ月でほぼ元の水準に戻ってしまいました。マザーズ指数に至っては1カ月前よりも低い水準になってしまっています。

 個別銘柄はさらに悲惨な状況です。10月11日には東証1部の年初来安値更新銘柄が310銘柄に達しています。9月7日に各指数が安値をつけた水準よりも、さらに株価が値下がりしているものが数多く存在しているということです。

  トータルで考えると、仮にこの1カ月間単に株を持ち続けていれば、投資成績は結構なマイナスになった可能性が高いです。

 もし、9月下旬~10月頭の株価が高い局面で株を買ってそのまま放置していたら、大きな含み損を抱える結果となってしまったでしょう。
売り買いのタイミングを考えずに何となく買ってしまい、そのまま保有を続けていると、簡単に含み損が膨らんでしまうのがここ最近の日本株の特徴です。

筆者はこの1カ月何をしてきたか

  では筆者は、この9月中旬から10月中旬まで何をしてきたかと言えば、非常に単純なことです。
 日々ウォッチしている銘柄が25日移動平均線を超えたら買い、25日移動平均線を割り込んだら売る、これを淡々と続けていただけです。
 
 筆者のブログにて、毎営業日「ADA指数」というものを公開しています。これは、筆者が投資可能資金のうちどのくらいの割合を実際に日本株に投資しているかを表したものです。この直近1カ月の最低値、最高値をみると次のようになっています。
・9月13日 ▲3.2%
・9月28日 +82.3%
・10月11日 ▲11.4%
参考:「公認会計士足立武志ブログ
 
 つまり、9月13日を底にして日本株への買いを積み上げ、9月28日にはそれがピークに達したものの、そこから一転して株価が下落するものが増えたため保有株を順次売却した結果、10月11日の▲11.4%に至ったということです。

 マイナスになっているのは、空売りを実行していて、保有株よりも空売りをしている株の方が多いためです。もし空売りをしていないとしても、9月13日や10月11日の数値は9月28日よりかなり低いものになります。 

 

トレンドに逆らわず売買を複数回に分割することで「決め打ち」を回避

 上記から、ADA指数は株価の底値近辺では小さくなり、高値近辺では大きくなっていることが分かると思います。筆者の弱気のピークは株価の安値近辺と一致し、強気のピークは株価の高値近辺と一致しています。なぜこうなるかといえば、筆者が株価のトレンドに沿った売買をしているからです。 

 何か特別なことをしているのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くそんなことはありません。日本株が安値をつけてから底打ちし、反発する過程で、強い銘柄から順次25日移動平均線を超えてくる銘柄が出現し、それが日々増加してきます。筆者はそうした銘柄を順番に買い進めているだけなのです。

 逆に日本株が高値をつけてから下落に転じると、保有株のうち弱い銘柄から25日移動平均線を割り込んでいきます。それを順次売却しているだけです。

 もし、買いや売りを1回にまとめて行うと、リスクの高い「決め打ち」になってしまいます。そのタイミングが間違っていたならば、利益を得ることができなかったり、多額の損失を被ってしまいます。

 でも、資金を数多くの銘柄に分散し、個別銘柄ごとの株価のトレンドに応じて買い進めたり、売り進めたりすることで、自然と売買のタイミングが複数回に分割されることになります。ひいては日経平均株価やTOPIXなど株価指数のトレンドにも沿った売買ができます。その結果、株価上昇局面では利益を伸ばし、株価下落局面では初期段階で売却ができますから、大きな失敗を避けることができるのです。

 

売買のタイミングが悪ければ大失敗につながる

 日本株が急落する前の前日の10月10日のADA指数は16.7%でした。9月28日の82.3%からは大きく低下しています。なぜなら、10月10日の時点でかなりの銘柄がすでに25日移動平均線を割り込んでいたので、それに従って筆者も保有株の売却を進めることができていたためです。それでもさすがに筆者でも10月11日はかなり大きな損失を被りました。

  もし「株価上昇に出遅れた」と強く感じ、タイミングも見計らわずに9月下旬に慌てて買い集め、そのまま保有を続けていたならば悲惨です。10月11日の株価急落で目もくらむような損失になってしまったことでしょう。株価上昇に出遅れないようにするためには、例えば筆者が実践しているように、投資候補としている銘柄の株価を日々ウォッチし、移動平均線を超えたらすぐに買えるようにしておくことが必要です。そうすればその後株価が下落しても利益もしくは小さな損失で切り抜けることができるのです。

 筆者もこのような波乱相場で利益を上げることはできませんが、株価が大きく下がっているときに利益を上げられなくても全く問題ありません。損失をできるだけ小さく抑えて次の上昇相場を待てばよいだけです。

 今回の上昇から下落へのジェットコースター相場は、個人投資家にとって学ぶべきことが多かったと思います。今回大きな損失を出してしまった、という方は、ご自身の投資手法を今一度見直すことを強くお勧めします。この程度の株価下落は、長い個人投資家人生の中で、幾度となく訪れる程度の小規模なものですから、今後に活かしてください。