弱気になった投資家心理、いつまで続く?
全体相場が急落すると、投資家の心理が急に弱気に傾くことがあります。それまでの強気が一気に萎み、たった一日で相場に対する姿勢は急変するのです。10月11日(木)に起こった「日経平均915円安」はまさにそうした出来事だと思います。その少し前(10月2日)につけた、平成バブル崩壊後の日経平均の高値2万4,448円07銭は忘れられることになるのです。
今回の急落はアメリカ株の急落を発端としたもので、アメリカ株の急落要因は米国10 年国債利回りの上昇です。米金利の上昇は、強い米国景気を反映したものであり、ともすれば日本株高の要因となることが多いドル高円安にもつながることですが、投資家の多くが冷静に捉えられるようになるまでには一定の時間が必要となります。
2008年のリーマンショック後、2009年春の安値以降の戻り相場においても、何度も「日経平均急落」は見られました。もちろん、すべてその後下げを跳ね返し上昇していくわけですが、たいていの場合、急落を埋め切るまでに約3週間を要しています。投資家心理の改善には、それくらいの時間がかかるのものだと認識しておきたいです。
ちなみに今年2月にも同様の理由(米金利の上昇)で世界株安となった局面がありました。当時は2月2日~2月8日までの5営業日でダウ工業株30種平均は約9%下落しました。対して今回は、10月4日を下げの起点として、その後5営業日間の下げは4.6%にとどまっています。
不確実性の低いところはどこ?好環境続く10万円株
投資家が相場に対して懐疑的な見方をしている間は、「より不確実性が低いところ」に資金が集まる可能性があります。つまり、マイナス材料やあらがないかを探す「減点」方式の銘柄選びがされやすくなるということです。そのひとつに、高値を維持している原油価格や資源価格動向に関連する銘柄があります。
株価データは2018年10月15日終値ベース。
千代田化工建設(6366・東証1部)
石油、天然ガス関連のプラントエンジニアリング大手企業で、日揮に次ぐ国内2位企業です。LNG(液化天然ガス)プラントでは世界5強の一角。通常、資源価格高騰が業績の追い風になります。
・千代田化工建設の日足チャート
明星工業(1976・東証1部)
熱絶縁工事を得意とする建設工事会社。LNG(液化天然ガス)、エチレン等の超低温保冷工事で圧倒的シェアを誇っています。足元の業績は厳しいものの、薄日が差せば株価にも反応が出るものと期待しています。
・明星工業の日足チャート
このほか、「運輸・物流」も好調継続セクターとして、投資家の変わらない評価を得ていると考えられます。
アルプス物流(9055・東証2部)
アルプス電気の物流子会社。2004年にTDK物流と合併、2010年にTDKラムダ・ファシリティーズを買収したことで規模が急拡大しました。車載向け、スマホ向け電子部品が中心です。
・アルプス物流の日足チャート
カンダホールディングス(9059・東証2部)
東京・旧神田区の運送16社統合で発祥。出版物共配に特色があるものの、現在は医薬・衣料品などの物流の一括受託や流通加工、さらには国際宅配便会社買収などM&A(企業の合併・買収)にも注力しています。
・カンダホールディングスの日足チャート
杉村倉庫(9307・東証2部)
関西倉庫の老舗企業。IR(カジノを含む統合型リゾート)の候補地として大阪も有力視されていることから、時折、大阪に多くの土地を保有する同社が話題になります。物品保管に加え品質検査や値札付け、包装など流通加工サービスを拡大しています。
・杉村倉庫の日足チャート
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