先週も想定通り、2万円水準のもみあいのあと2万円を割って引ける

先週の予測では、引き続き円高基調の中、米国の7月雇用統計を控え様子見が続くとし、1万9,900~2万300円のレンジの中で2万円をはさんだもみあいを想定しました。 この中で足元の企業業績は好調であり、これが相場を下支えし好決算企業の個別物色相場になるとしました。

結果的には想定通り、1週間を通して安値は1万9,891円、高値は2万113円と2万円をはさんだもみあいとなり、週末の4日(金)は-76円の1万9,952円と2万円を割れて引けました。

31日(月):110円台半ばの円高が重しとなり、日経平均は-34円の1万9,925円の小幅続落となりましたが、好業績株の物色が相場を下支えました。 

8月1日(火):110円台前半の円高が重しとなり、一時-20円の1万9,904円まで下げましたが、売り一巡後は好業績物色を支えにプラスへ浮上し、時間外で米国株式の先物が上昇していたことにサポートされ+60円の1万9,985円と反発しました。月初めをプラスで終えるのは14カ月連続ということでした。 

2日(水):米国株式が3指標そろって上昇。特にアップルが売上げ、利益ともに史上最高値を更新した影響でアップル関連株が上昇し、日経平均は+94円の2万80円と4日ぶりに2万円台回復となりました。 

3日(木):NYダウが7日連続(6日連続の最高値更新)となったにもかかわらず、反応せず売り先行でスタート。一時-94円の1万9,985円まで下げ、-50円の2万29円で引けました。

週末の4日(金)は、為替が一時1ドル=109.80円台となったことで輸出関連株が売られ-76円の1万9,952円と2万円を割って引けました。値上がり銘柄数は1107と値下がり数775を大きく上回っていますので値ガサの輸出関連株が売られたことを示しています。

NYダウは連日の史上最高値となっていれば、これまでですと日本株の相対的割安ということで水準訂正が起きるのですが、そうはなっていません。それは米国の金利が一服していることで日米金利差拡大期待からの円安が進まずに外国人は日本株を買えない状況が続いていることになります。

もう1つの要因として外国人の売買が減少しているのは、北朝鮮のミサイル問題からのカントリーリスクがあるかもしれません。日本人投資家は売り越しが続いており、2万円台にのると売りが出てきて、これを吸収するだけの買いがはいっていないという状況です。

4日(金)の米国市場では、注目の7月の雇用統計は非農業部門雇用者数が予想の+18.0万人を上回る+20.9万人、失業率も前回の4.4%から4.3%と強い結果となったことで、10年債利回りが上昇しドルが全面高となりました。ドル・円は一時111.05円まで買い進まれ、これを受けてシカゴの日経先物は+75円の2万25円となりました。

今週は、3連休や夏季休暇を控え、1万9,900~2万300円の中でのもみあい継続

今週は、先週末の雇用統計を受けた株高・ドル高を受けて高く始まりましたが、上値は限定的と思われます。ドルが買われたのは強い雇用統計の結果を受けて今年内に追加利上げ観測が再燃したことにあります。しかしトランプ大統領のロシアゲートによる政治リスクからのドル売りやFF金利先物からみた年内の利上げ確率は上昇していませんので、ドル高・円安は限定的なものとなりそうです。

国内的にはピークを迎える上場企業の2017年4~6月期決算発表に注目が集まりますが、3連休を控え外国人投資家は夏季休暇に入るものが多くなり、いったんポジション調整や手控えとなり、外国人の買いは期待できません。

そうなると決算の好調な個別銘柄が買われることになりますが、それが全体相場を押し上げるだけの力になるのかどうか疑問です。そうであれば、これまでと同じように1万9,900~2万300円の中でのもみあいが続くことになります。

チャート的には、6月15日の1万9,755円を安値、6月20日の2万318円を高値とするレンジの中でのもみあいの中。さらに7月20日の2万157円を高値、7月31日の1万9,891円を安値とする小さな三角保ち合いをつくっていますが、それが煮詰まりつつあります。

ただし、これを上下どちらかに放れても強い材料がない限り、上値は2万318円、下値は1万9,975円が当面の抵抗ラインとなります。そうなるとNYダウ、為替に影響を与える大きな材料が出ない限り、当分は1万9,755~2万318円のレンジ内の動きということになりそうです。

材料としては、トランプ政権の不透明感がどうなるのかが1番の注目ですが、先のことは予想しても神のみぞ知るです。基本は結果が出てから対応するスタンスが重要だと思います。目先売買したい人は損切りポイントを決めて投資することをおすすめします。

7日(月)は、先週末の7月雇用統計の強い結果による米国株高、円安を受けて+106円の2万59円で寄り付き、一時+133円の2万85円まで上昇。その後は好業績銘柄にサポートされて高値圏での推移となり、大引けは+103円の2万55円となりました。

好業績を受けて個別銘柄の物色は根強いものの、利益確定売りに抑えられています。3連休や夏季休暇を控えており市場ボリュームは減少傾向になると思われます。

(指標)日経平均

先週の予測:週末に米7月雇用統計を控えて、前週に引き続き内外不透明要因多く日米の決算をみながら好決算の個別銘柄物色が中心となり、1万9,900~2万300円のレンジの中で2万円をはさんだもみあいになるとしました。

結果:為替の円高が上値を抑え、米国株式の堅調さにかかわらず手がかり材料に欠け、上値は2日(水)の2万113円、下値は31日(月)の1万9,891円でした。想定通り2万円をはさんだもみあいとなりましたが、週の終値は▲76円の1万9,952円と2万円を割って引けました。

今週:先週末の7月雇用統計の予想を上回る強い結果を受けてドルが一時111.05円まで買い戻されたことで、シカゴの日経先物は2万25円と2万円台を回復しており、日経平均も2万円台回復の動きとなりそうです。

FRBによる年内利追加上げの観測が浮上しており、ドル高・円安基調となれば日経平均も1万9,900~2万300円のレンジの中で上限を目指すところです。

ただし米国では、ロシアゲートの問題がより不透明になっており政治リスクがドル売り要因となっているので、ドルの上値は限定的である可能性が高いといえます。チャート上は、6月20日の2万318円を終値で上回れば一段高の形ですが、外部環境を考えると、まだ1万9,900~2万300円のレンジが続きそうです。

 

(指標)NYダウ

先週の予測:前週は高値圏のもみあいが続く中、史上最高値を更新しています。これは金利引き上げ観測が後退する中、企業業績の好調が続いているため。引き続き、高値圏のもみあいとなる中、同じような動きを想定しました。また、トランプ政権の政策実行への懸念が高まればドル売り・株売りの可能性もあるとしました。

結果:トランプ政権内の混乱を受けて税制改革などが大きく後退するな中、好調な企業業績に目が向き株価を引き上げる展開となってNYダウは連日の最高値更新。週末の8月4日(金)の7月雇用統計が予想を上回る結果を受け、3指標そろって上昇しNYダウは9連騰し、8日連続の最高値更新となって+66ドルの2万2092ドルで引けました。

今週:そろって高値警戒感が出そうなところにきているので要注意といえそうです。先週まででNYダウは9日連騰し、8日連続の史上最高値更新となっています。7月雇用統計を除く経済指標は強弱交じっており、原油も50ドル付近まで上昇しており、今後の動向が注目されます。また、夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多いため、いったんポジションを手仕舞する動きが相場全体の上昇を抑える可能性もあります。

 

(指標)ドル/円

先週の予測:FRBの金融政策を見極めたいためにドルの上値は重い展開が想定。注目は週末の4日(金)の7月雇用統計であり、結果が悪ければドルは売られ、よければドルが買われることになるとし、110~113円のレンジを想定。

結果:週末の雇用統計前まではロシアゲート問題や3日の7月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったこと、さらにインフレ鈍化の思惑が上がり長期金利が低下したこともありドル売りが活発化し、一時109.85円まで下落しました。

しかし、4日の7月の雇用統計は予想を上回る強い内容だったことで年内追加利上げ観測が高まりドルが買い戻され、一時111.05円まで上昇し110.70円で引けました。

今週:先週末の7月雇用統計が予想を上回ったことで年内追加利上げ観測が浮上して、ドルが買い戻されましたが、この流れが続くどうかは不透明です。

それはほかの経済指標は強弱マチマチであり、追加利上げに対する慎重な見方があるからです。一方でロシアゲートに関する捜査にからむ政治情勢が懸念材料として継続しており、ドル売り要因となっています。結局、ドルの上値は限定的で110~112円が基本レンジといえます。