4月6日
利回り曲線フラット化などで不透明感も、個別では新華人寿保険を有望視

中国本土の保険銘柄は市中金利の上昇トレンドを受けた資産運用収益の改善期待から、2016年10-12月期以降、大幅に値上がりした。ただ、BOCIは長期債の供給正常化に伴い、現在の金利上昇サイクルの下、中国のイールドカーブ(利回り曲線)のフラット化が進むとし、引き続き慎重。セクター全体の中立見通しを継続し、優良銘柄の選別が必要との見方を示した。個別では新華人寿保険(01336)をトップピック銘柄とした。

本土の保険銘柄は16年通期に、EV算出に際しての運用収益想定値の下方修正を行った。ただ、中国版「ソルベンシー2」に当たる「C-ROSS」の履行がその効果を一部打ち消した。想定値変更の影響を除外すれば、主要銘柄の新契約価値の伸び率は各36-58%。想定値変更とC-ROSS導入の影響を含めた各社生保部門のEV伸び率は9-25%だった。

本土保険各社は過去2-3年、商品構成の改善を重視してきたが、BOCIは実際に改善か進んだか多角的に分析し、その結果、総合的なビジネスの質という点で、中国平安保険(02318)が最も優れているとの結果を示した。中国太平洋保険(02601)と新華人寿保険については商品構成の改善において、相対的に大きな成果が見られたとしている。

BOCIによれば、生保セクターにおける16年の新契約価値の伸びは、販売量の拡大や利幅の改善、営業強化などを組み合わせた成果。ただ、一部銘柄は商品構成改善に向けた圧力が依然大きいと指摘し、17年には個別に格差が生じるとみている。

一方、損保に関しては、中国人民財産保険(02328)の16年本決算が最も落胆する内容だったとし、自動車保険の料率引き上げ圧力や農業保険の損害率(ロスレシオ)の上昇が響いたと指摘した。うち自動車保険に関しては17年下期に一段の規制緩和が行われるとみて、17-18年も厳しい事業環境が続く見通しを示した。

全体の運用リターンに関しては、金利上昇や資本市場の堅調見通しなどから、17年には上向くとの見方。ただ、資産・負債のデュレーション(資産運用における投資期間と保険金支払いまでの期間)ミスマッチを考慮した場合、イールドカーブのフラット化や長期確定利付証券の不適切な供給状況が、保険各社の最大の問題点になるとしている。

C-ROSSの下、生保のソルベンシーマージン(支払余力を示す指標)は総じて改善。その結果、主要銘柄の配当性向は20%超に上向いた。BOCIは運用リターンの改善と準備金計上圧力の軽減を理由に、17年も総じて2桁台のROEを維持するとみている。

本土保険銘柄は現在、17年予想P/EV倍率(株価EV倍率)で平均0.8倍、予想PBRで平均1.4倍、PERで12.7倍の水準で取引されており、平均ROEは12.1%。BOCIは成長とリスクのバランスの点から、ほぼ適正水準にあるとの見方。セクター全体に中立見通しを据え置いた。新華人寿保険をトップピック、ほかに中国平安保険(02318)、中国太平洋保険(02601)の株価の先行きに対して強気見通しを明らかにしている。