<今日のキーワード>

 9月26日に安倍首相とトランプ大統領が行った日米首脳会談では、『TAG』の交渉を始めることが合意されました。この前日に行われた、FFRの第二回会合では合意とならず、交渉は日米首脳会談に持ち越されていました。日本側の懸案事項となっていた、自動車の輸入制限や農産品の自由化については当面回避されることになり、日米貿易摩擦は一旦後退したと言えそうです。

 

【ポイント1】日米首脳会談で『TAG』の交渉入りに合意

FFR第二回会合では先送りされた合意に一定の成果

 9月26日、安倍首相とトランプ大統領は日米首脳会談を行い、「日米物品貿易協定 『TAG』」(Trade Agreement on goods)の締結に向けて交渉に入ることで合意しました。この前日には、茂木経済財政・再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とで、「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」(FFR)の第二回会合が実施されたものの、貿易促進の方策や枠組みについて基本的な認識は一致していると確認がされただけで、詳細の合意は今回の日米首脳会談に持ち越されていました。

 

【ポイント2】自動車への追加関税賦課は当面見送り

農産品はTPP合意内容が最大限となる見込み

『TAG』は、投資・サービス分野などを含む自由貿易協定(FTA)とは異なるとされ、モノの貿易に関する関税の引き下げや撤廃、税関手続きの円滑化などの交渉も含まれます。

 今回の日米首脳会談での貿易交渉では、自動車の輸入制限についてどのような合意となるかが1つの焦点でした。米国側が検討している、輸入自動車への追加関税賦課については、『TAG』の交渉中は課されないことが、首脳間で確認され、当面は追加関税賦課が見送られることになりました。ただし、交渉の進捗次第で再び米国側が主張してくることも考えられます。

 また、もう1つの日本側の懸案事項であった農産品については、過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限であることが明記され、「環太平洋経済連携協定」(TPP)での合意水準を超えた自由化とはならない見込みです。

 

【今後の展開】『TAG』の実際の交渉入りは年明け以降の見込み

 米国では貿易促進権限法により、通商交渉を始める際は少なくとも90日前までに議会に通知する必要があり、『TAG』の交渉開始は年明け以降になると見込まれます。米国は、中国、欧州、カナダ等、他の国・地域とも貿易交渉も抱えており、それらも今後の日米の貿易交渉に影響すると考えられ、今後の進捗に注目です。