景気テコ入れ策が追い風、中央政府主導でインフラ投資加速へ

現地コード 銘柄名
00390

中国中鉄股フン有限公司 

(チャイナ・レールウェイ)

株価 情報種類
 7.45HKD
(9/19現在)
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 9月18日の香港株式市場では主要工業銘柄が全体相場の上昇を主導し、中でも中国中鉄が前営業日比7.5%高と、値上がり率上位となった。国家発展改革委員会(NDRC)は同日の記者会見で、18年のインフラ投資計画を発表したが、BOCIはこれを受け、「政府は明らかに、インフラ投資を景気下支えに向けた主要手段に位置づけた」と指摘。有力ゼネコンの1社である中国中鉄の株価の先行きに対し、強気の見通しを明らかにしている。

 BOCIは8月の国内インフラ部門の固定資産投資の低迷を予想外と受け止めている。同投資額は1~7月に前年同期比1.8%増まで減速し、続く8月は前年同月比5.9%減。予想に反して、全く持ち直しの兆しを見せなかった。中国鉄路総公司(CRC:国内の鉄道運行・建設事業を一手に担う国有鉄道会社)および交通部はすでに、中央政府レベルの鉄道建設プロジェクトを対象に投資予算を積み増す方針を表明済み。ただ、その一方で、投資予算不足に悩む地方政府が、中央の方針に対応しきれなかったもよう。実際、多くの省は財政難、資金調達難に直面しており、インフラ投資を支えるだけの体力がないのが現状という。ただ、NDRCは今回の記者会見で、インフラ投資の強化に向けた意志を鮮明にした。

 NDRCは今後、インフラ投資を主導するとともに、すみやかな投資の実施に向けて他省庁と連携する見込み。また、ロケーションの決定や土地・海の利用法、環境評価などの点から新規プロジェクトを迅速に処理し、建物解体や公共施設の建設、資金調達への支援も加速させることになる。NDRCの最大の目標は、プロジェクトをできる限り早期に始動させること。鉄道や道路、地下鉄、水力、エンジニアリング、農業、環境保護などのプロジェクトがその主な対象となる。

 BOCIはインフラ・セクターの中で、中国中鉄の株価の先行きに対して唯一、強気の見方を付与している。インフラ建設プロジェクトが拡大する中、新規受注の伸びで同業銘柄を上回り、国内外市場でシェアを拡大しつつあることが理由という。また、IR活動など投資家との関係においても、同社の手腕は際立っていると高く評価。さらに現在株価が18年予想PERでわずか7.8倍の低水準にとどまる点を指摘している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスクとしては、「仮に米中対立が緩和に向かった場合、インフラ投資の強化策がトーンダウンする可能性」を挙げている。