今回は少額でも、人気エリアのビルやマンション、商業施設のオーナーになれるJ-REIT(ジェイ・リート:国内の上場不動産投資信託)について解説します。

 

少額からでもスタートできる不動産投資

 資産運用の手段と言えば、株式投資や投資信託の他に、不動産投資も人気です。人気とは言え、例えば現物のアパートやマンション不動産へ投資する場合、最低でも数百万円という多額の資金が必要です。投資に回せる資金が毎月1万円という人の場合、数十年先にならないと不動産投資を始められないことになります。「話題のエリアだから今後値上がりするに違いない」と先見の明があっても、指をくわえているしかないのでしょうか。

 実はここでオススメしたいのが、国内の株式市場に上場するJ-REITの活用です。投資資金の少ない人でもJ-REITを利用すれば、不動産投資が可能です。

 

J-REIT(ジェイ・リート)とは? 

 J-REITは投資信託の一種。多くの投資家から集めた資金を元手に、オフィスビルや商業施設、マンションといった不動産だけを複数購入します。そして、これらの賃貸料や売買益を、資金を出した投資家に分配する金融商品です。分配金は、法人税が課税される前の利益のほとんどを分配するので、他の投資信託と比べてメリットが高くなります。

 また、J-REITは株式のように証券取引所に上場しているため、証券口座で売買ができ、購入も換金も容易なのが特徴です。2001年9月に登場した投資商品ですが、低金利の現在でも3~4%前後の分配金実績がある商品が複数あり、他の金融商品と比較しても高い分配利回りが期待できます。

 ちなみにJ-REITの「J」はREITの日本版という意味です。REITは米国で生まれた仕組みです。

 

投資ビギナーでも安心なJ-REITファンド

 J-REITは投資する不動産の選定や購入した不動産の管理を専門家に任せつつ、少額では購入することのできない都心のビルやマンションを持つことができるもの。

 ただし、投資一口当たり、数十万円と投資ビギナーさんには躊躇(ちゅうちょ)する金額の商品が多く、また株式と同様に売買のタイミングにも気をつける必要があります。

 でも投資ビギナーさんにもオススメできる商品があります。J-REIT自体が投資信託なので少しややこしいのですが、J-REITを投資対象とする投資信託「J-REITファンド」です。

 

現物の不動産投資と比較したJ-REITファンドのメリット

 現物の不動産を購入するのに比べて、J-REITファンドにはどのようなメリットがあるのでしょうか。大きく3つあります。

(1)購入・売却がカンタンにできる

 J-REITファンドは、現金が必要なときにすぐ解約することができます。現物不動産は価格が下がってしまって売れないという物件もあるので、分配金が受け取れて、いつでも換金もできることは、J-REITファンドのメリットと言えます。

(2)少額から投資できる

 J-REITファンドは、100円などの少額から投資が可能です。

(3)大家さん業の面倒な管理が不要

 不動産の管理で怖い空室率リスクや家賃滞納リスク、改修費を心配しなくていいという点でもメリットがあります。不動産には興味があるけど、空室が出ると資金回収に困ることが怖い、現金にあまり余裕がないという方などには、特にオススメの投資商品と言えるかもしれません。

 

J-REITのデメリット

 ただし、株式のように景気がいいときに大きなキャピタルゲイン(売買差益)を得ることは期待できません。

 景気がよくなって株価がうなぎ上りになったとしても、REITの収入源である賃料の上昇幅は相対的に狭いためです。

 また、市場金利が上昇していけば、借入金の利払いが増えるため、収益が低下する可能性があります。

 さらに、個別のJ-REITは取引量があまり多くなく、価格変動も大きくなりやすいので、まとまった資金のある方でも、個別のJ-REITより、J-REITを中心にポートフォリオを組んでいるJ-REITファンドを購入するほうが安心でしょう。

 現物不動産よりも気軽に不動産投資ができ、さらに少額から物件の分散が可能となるJ-REITファンドは、投資ビギナーさんでも、ポートフォリオに取り入れてみたい商品の一つと言えます。