風力銘柄の高税率がサプライズ、17~20年も実効税率の上昇持続か
18年6月中間決算では、風力発電銘柄の実効税率の高さが市場のサプライズとなった。そこでBOCIは再生可能エネルギーに関する課税政策を再検討するとともに、個別銘柄の過去の設備導入状況(時期・地域)を考慮した上で実効税率モデルの見直しを実施。その結果、設備導入ペースの減速に伴い、17~20年にはそれぞれ2.2~5.3ポイントの幅で実効税率が上向く見通しを示した。電力セクター全体に対する中立見通しを継続し、個別では華潤電力控股(00836)をトップピックとしている。
中国の企業所得税の基本税率は25%だが、風力・太陽光発電に関しては以下の通り、2つの課税優遇措置が存在する。◇公共インフラ・プロジェクトを対象とした「3+3」型の減免(当初3年間は免税、続く3年間は5割減税)、◇西部開発に絡む15%への税率引き下げ。要件さえ満たせば、2つの優遇を重複して受けることができる。
風力発電設備は過去10年にわたって拡大してきたが、発電容量の伸びはすでに減速傾向にある。BOCIによれば、その影響で課税優遇の対象となるプロジェクトの割合も縮小。これが全体の実効税率を押し上げる要因となった。BOCIが今回新たに設定した税率モデルは、実際の実効税率にかなり近い数字。このモデルに基づくと、17~20年には各社の実効税率が2.2~5.3ポイント上向く。税率の上乗せ分が最も小さい2.2ポイントにとどまるのは華潤電力控股。最も大きいのは華能新能源(00958)になるという。
この先、税率関連のリスク要因となるのは、西部開発の課税優遇措置が20年末で終了すること。政府が21年以降も延長するか今のところ見通しにくい。ただ、BOCIは仮に延長されない場合、大唐新能源(01798)に最も打撃が及ぶとの見方。同社プロジェクトの42%が優遇対象であることをその理由としている(他の銘柄は11~29%)。
一方、「3+3」優遇措置に関しては、対象プロジェクトの比率が最も大きいのが華潤電力控股。同社は積極的な設備拡大戦略を理由に、短期的には再生エネルギー部門の税率が緩やかな上昇にとどまるとみているが、仮に今後、設備導入ペースがスローダウンした場合、21年以降の税率の上昇幅で同業銘柄を上回る見込み。同社の場合、同優遇を受けているプロジェクトが20年時点で全体の51%に上る(その他銘柄は36~43%)。
BOCIは華潤電力控股をトップピックとしている。短期的には石炭事業の売却計画で増配の可能性が高まり、支援材料になるとの見方。同社の現在株価に基づく予想配当利回り(増配期待値を含まず)は6.6%。不安定な相場展開が続く中では魅力が大きい。このほか龍源電力(00916)と華能新能源の株価の先行きにも強気。この2銘柄については、RPS(再生可能エネルギー利用割合基準制度)の確定案が発表されるまで上値は期待しにくい半面、これまでの調整を受け、一段の下値余地も限られるとみる。また、残る風力銘柄の大唐新能源に関しては、株価の先行きに対して中立見通しを示している。
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