先週末9月14日(金)の日経平均は2万3,094円で取引を終えました。終値ベースで2万3,000円台に乗せるのは5月21日(2万3,002円)以来です。週足ベースでも前週末終値比で787円の大幅高を演じました。
「2万3,000円台の壁」に阻まれ続けていた日経平均は、ようやくその向こう側へ手を掛けているような印象になっていますが、さすがに今回で5回目ということもあって、なかなか自信を持てない感も否めません。
実際のところはどうなのでしょうか? 早速下の図1で足元の状況から確認します。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年9月14日取引終了時点)
まずはローソク足の並びです。先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、ふたつの「窓」空けを経て上昇していました。最初の窓空けで25日・75日・200日といった移動平均線を上抜け、そして、二度目の窓空けで2万3,000円台に乗せています。
株価上昇の背景を探ると、最初の窓空けでは、悪材料(米国の通商政策、米ハイテク株の軟調、日本を襲った自然災害)による売りが一巡したことによる買い戻しが入り、次の窓空けでは、通商問題をめぐって米中の交渉再開に向けた動きが好感されたことや、トルコの利上げによって新興国への警戒が和らいだことなどが追い風になりました。
もちろん、週末に控えていたメジャーSQへの思惑が株価の動きに影響を与えた点についても考慮する必要はあるものの、12月へと限月が切り替わった日経平均先物がSQを超えた後も2万3,000円台を維持しています。本来であれば配当落ちの分だけ9月26日(権利落ち日)まで先物価格の方が安くなりやすいことを踏まえると、2万3,000円台維持への意識が感じとれます。
次に、短期的なトレンドをチェックします。下の図2は日経平均の平均足とMACDです。
■(図2)日経平均の平均足とMACD(2018年9月14日取引終了時点)
平均足とMACDの組み合わせでは、平均足の転換(陽線から陰線・陰線から陽線)とその後に現れるMACDとシグナルのクロスがトレンド転換の目安として判断されますが、上の図2では日経平均が陽転した後にMACDがシグナルを上抜けており、上昇トレンドへの転換サインが出ています。
また、平均足は始値と終値の描き方がローソク足と異なります(高値と安値は同じ)。始値は前日の実体(箱の部分)の半分となり、終値は当日の四本値(始値・高値・安値・終値)の平均値です。
つまり、今週18日(火)の平均足は2万2,849円で始まることになります。もし、日経平均がこの日の取引で2万3,000円台割れを見せたとしても、すぐにガッカリする必要はなく、四本値の平均値が2万2,849円を上回っていれば、平均足は陽線を続けることができます。
続いて週足チャートで中期のトレンドも確認します。
■(図3)日経平均(週足)の動き(2018年9月14日取引終了時点)
週足チャートでも、52週移動平均線がサポートとして機能しており、堅調な地合いに変化は見られません。また、ローソク足を見ても、先週の大きな陽線が前週の陰線を包む格好です。
いわゆる「包み足」の格好ですが、この2週分のローソク足を合成すると、下ヒゲの長い陽線となり、売り込まれた後に押し戻していることが分かります。
このように、日経平均の状況は日足・週足ともに悪くなく、基本的には上方向への意識に傾いていると言えますが、前回も紹介したエンベロープを見ると、25日移動平均線の+3%乖離(かいり)線が近くに迫っていますので、そろそろ株価上昇に一服感が出やすい株価水準でもあります(下の図4)。
■(図4)日経平均(日足)のエンベロープ(2018年9月14日取引終了時点)
そして最後に、今年に入ってからの日経平均の動きと相場材料を重ね合わせてみます。
■(図5)日経平均の動きと相場材料
ここ数カ月間の日経平均は、不安の高まりと一服によって2万3,000円を上値のめどにしつつ、下げたらその分だけ戻すという展開が繰り返されています。
「不安材料さえなければ…」といったところですが、今週も米国の通商政策動向を中心に、外部要因に振り回されやすい環境が続きます。相場が「2万3,000円台の向こう側」へ踏み出すために、こうした不安材料の「一服」が「後退」へと進んでいく勇気が試されているのかもしれません。
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