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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。8月の『街角景気』では、7月の豪雨や猛暑の影響の反動が見られ、前月比+2.1ポイントの改善となりました。ただし、9月に入ってからも地震や台風が各地に被害をもたらしており、当面は天候要因などに注意が必要です。

 

【ポイント1】現状判断DIは前月比+2.1ポイントの48.7

7月の豪雨の影響は和らぐも、引き続き中立水準の50を下回る状況が続く

 8月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月比+2.1ポイントの48.7(季節調整値)となりました。項目別では、家計動向関連の住宅関連、雇用関連を除き、前月から改善しました。特に、家計動向関連の飲食関連、サービス関連は5ポイント超の大幅な改善となりました。

 7月は西日本豪雨の影響により、地域別に見ると四国、中国を中心に前月比で大きく低下していました。8月はこの反動から、四国は前月比+5.7ポイント、中国は同+3.7ポイントと改善が見られました。

 

【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

気象条件や通商問題に関するコメントが増加

 街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーのコメントからは景気に引き続き慎重な姿勢が見られます。

 引き続き「猛暑」の使用頻度が高水準となったほか、「豪雨」や「台風」など、気象条件に言及するコメントが目立ちました。一方で、通商問題に関わる単語の使用数も増加し、米国の通商政策の『街角景気』への影響度は着実に高まっていると見られます。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後に ある有益な情報を探ることができます。

 

【今後の展開】地震や台風など、自然災害による景況感の下押し圧力が続きそう

 先行き判断DIは前月比+2.4ポイントの51.4となりました。内閣府は、「緩やかな回復基調が続いている。人手不足、コストの上昇等に対する懸念もある一方、秋物商戦や受注増等への期待がみられる」と、概ね前月から景気の基調判断を据え置きました。ただし、8月調査(調査期間は8月25日~31日)を終えた後、9月上旬には北海道胆振東部地震や、強力な台風21号が各地に大きな被害をもたらしています。次回9月調査にもこうした天候不順などの影響が表れると考えられ、当面は自然災害が景況感を下押しする状況が続きそうです。