約8年連載を続けてきた本コラムも、今回で400回の節目を迎えました。そこで今回は、成功している投資家は何をしているのかについて、書いていきます。個人投資家の方が株式投資で成功するためにとても参考になるはずです。
はじめに~連載400回の節目を迎えて
はじめに、2009年から連載を開始した本コラムも、おかげさまで400回目の節目を迎えることができました。これもひとえに、読者の皆さまのおかげです。心より御礼申し上げるとともに、さらなる節目へ向けて、実践に役立つ知識・情報の提供を心掛けてまいります。引き続きの応援をよろしくお願い申し上げます。
さて今回、400回の節目ということで、個人投資家の皆さんに向けて、ブログ、Facebookなどでテーマを募りました。その結果、たくさんのご提案をいただきました。どのテーマにするか、とても迷いましたが、その中で「利益を上げている投資家は、普段どのような行動をとっているのか知りたい」という質問について取り上げることにしました。
実は、株式投資で成功している投資家と、そうでない投資家は、さまざまな点で違いがあります。これを知っておくことが、成功に近付くために非常に参考になるのではないかと思っています。
個人投資家が失敗する理由~なぜ相場の雰囲気に流されてしまうのか?
多くの個人投資家が失敗する理由の代表例として、「相場の雰囲気に流される」という点があります。
たとえば、ある銘柄の株価が突然急騰すると、「もっと上がるに違いない」と飛びついて買ってしまい、その後の下落で塩漬け状態になってしまいます。
また、普段は「株価が安くなるまで待ってから買おう」と思っているのに、相場全体が大きく上昇するのを目の当たりにして、「今買わなければ置いていかれてしまう」とあわてて高値で買ってしまう、という行動もよく見かけます。
それとは逆に、株価が買い値を割り込んで含み損の状態になると、はじめのうちは「そのうち株価も反発するだろう」とたかをくくっているのに、そこから株価が急落すると「早く売らないと大損してしまう」と慌てて底値で投げ売りしてしまう、というのも典型的な行動パターンです。
なぜこのように、多くの個人投資家は相場の雰囲気に流されてしまうのでしょうか?
一方の成功している投資家は、このような行動は一切することがありません。それはどうしてでしょうか?
感情のままに動いていてはうまくいかない
上記で書いたような行動をしてしまう個人投資家に共通すること、それは事前に何も準備をせず、行き当たりばったりの行動をしてしまっているという点です。
行き当たりばったりとは、感情が大きく動かされたときに行動しているということです。
そして、感情が大きく動かされるのはどんなタイミングかといえば、株価が短期間に上にも下にも大きく動いたときです。株価が短期間に上に大きく動いたときは株価が天井を付ける可能性が高く、逆に短期間に下に大きく動いたときは株価が底値を付ける可能性が高くなります。
つまり、感情のままに株式投資を続けていると、いつの間にか高値で買い、安値で売る、という行動を繰り返してしまうのです。
これでは、株式投資で成果を出すのは難しいと言わざるを得ません。
成功している投資家はあらかじめ「準備」をしている
一方、成功している投資家は感情に任せた行き当たりばったりの行動を取ることはありません。なぜなら、あらかじめさまざまな「準備」をしているからです。
成功している投資家も、その投資手法は人それぞれなので一概にはいえないのですが、筆者であれば、特に次の2点につき、「準備」をしています。
(1)どの銘柄に投資するか、事前に決めておく
(2)どうなったら買い、どうなったら売るかのルールを事前に決めておく
筆者は、好業績の銘柄を中心に約400銘柄のウォッチリストを作っていて、この銘柄の中から実際に投資する銘柄を選ぶようにしています。
もし、投資する銘柄を事前に決めておかないと、値上がり率ランキングで上位に入った銘柄や、短期間に株価が急騰した銘柄にどうしても目を奪われてしまいます。
株価が大きく上昇した銘柄は、なぜか不思議と今後も上昇すると思ってしまうのが個人投資家の習性です。その結果、株価急騰銘柄を手あたり次第買ってしまい、その後の下落で損失を被ってしまうのです。
でも、事前に「この銘柄の中から投資する銘柄を選ぶ」と決めておけば、それ以外の銘柄の株価が急騰したとしても、それは自分には関係のないことと割り切って、無視することができるのです。
筆者のまわりの成功している投資家もみな、自分の守備範囲外の銘柄の動きは一切気にしていません。たとえ話題のテーマに乗って短期間で株価が5倍、10倍になる銘柄が出現しても、それは関係のないことだと無視しています。
売り買いのタイミングについてもルール化しておく
また、どうなったら買い、どうなったら売るかのルールをあらかじめ設定しておけば、株価急騰した銘柄を慌てて買ったり、逆に株価が急落した銘柄をパニックになって投げ売りしたりするのを避けることができます。
筆者は具体的には25日移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売りというようにしていますが、多くは株価が急騰する前にすでに25日移動平均線を超えていますし、急落する前に25日移動平均線を割り込んでいます。25日移動平均線を基準にして売買しておけば、急騰・急落が起きる前に売買を済ませることができるのです。
さらに、25日移動平均線からのかい離が大きい銘柄については新規買いしないと決めていますので、高値掴みも防ぐことができます。
ご自身の株式売買をルール化して事前の準備を
このように、事前に「何を買うか」「どうなったら買ってどうなったら売るか」の基準をあらかじめ準備しておけば、売り買いに感情が入る余地はありません。
株価が短期間に急騰した銘柄があっても、「移動平均線からのかい離が大きければ買わない」というルールがあるため、感情のおもむくままに高値で飛びつき買いをしてしまうこともありません。
また、株価が下落する初期段階で、25日移動平均線を割り込んだら保有株を売却しますから、その後の株価急落で半ばパニックになって、底値で投げ売りするような心配もなくなります。
このように、成功している投資家は、株価がどう動いても対応できるように、あらかじめさまざまな準備をしているのです。
株価が大きく動いてからどうするのかを決めるのが一般の投資家、株価が大きく動く前に対応をルール化して決めておくのが成功している投資家です。何事も、備えあれば憂いなしです。ぜひ今日から、ご自身の株式投資をルール化し、事前の準備を進めてみてください。
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