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およそ10年に1回のサイクルで、世界的な経済危機につながる金融危機が起きています。1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2008年の『リーマン・ショック』です。今年は、『リーマン・ショック』から10年にあたります。
ブラックマンデー、『リーマン・ショック』を引き起こした米国では現在、株価が史上最高値圏で推移、金融政策は緩和解除が進められています。果たして今回も経済危機が起こるのでしょうか?
【ポイント1】『リーマン・ショック』で米経済は大幅に縮小
実質GDPは3年かかって漸くショック前の水準を回復
『リーマン・ショック』では、米国のGDPは大きく縮小しました。ショック前の2007年には15兆6,260億ドルあった米国の実質GDPは2009年に15兆2,088億ドルへと4,172億ドル、率にして2.7%も減少しました。2007年の水準を上回ったのは2011年のことです。なお、直近2017年の米国の実質GDPは18兆510億ドルです。ただし、サンフランシスコ地区連邦準備銀行の推計によれば、2017年の米GDPは『リーマン・ショック』がなく、米経済が当時推計されていた潜在成長率で拡大を続けた場合と比べて12%も下回っています。
【ポイント2】経済危機はほぼ10年ごとに起きたが…
2018年に経済危機に陥る可能性は低い
過去を振り返ると、ほぼ10年周期で金融危機が繰り返されてきました。2018年は、前回の金融危機(『リーマン・ショック』)から10年に当たります。今回も危機が繰り返されるのか懸念されるところですが、以下の点から判断する限り、その可能性は低いと考えられます。
まず金融政策ですが、緩和の解除を漸進的に進めています。インフレ期待が落ち着いていることが、漸進的な緩和解除を可能にしていると見られます。加えて、金融規制の強化もあり、金融機関の資本と流動性のポジションも健全さを保っているほか、金融システム全般でレバレッジの拡大が抑制されています。
【今後の展開】注意を要する米中関係
米国内で懸念されるとすれば、企業の債務残高の大きさでしょうか。対GDP比率で見ると、直近2018年3月末時点で企業部門は72.0%と、2009年3月末の過去最高値73.7%に接近してきました。ただし、企業の利払い負担は安定しています。特に問題があるようには見られません。
国際的な視点から見ると、ポピュリズム(大衆迎合)政治の横行や、国家間の対立の先鋭化等が、問題として挙げられます。特に、米中の貿易戦争は、世界第1位と第2位の経済規模を持つ経済大国間の争いだけに、その成り行きを注意深く見守る必要があると思われます。
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