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トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、貿易協定の見直しや中国への追加関税の賦課などを行っています。こうした貿易摩擦の激化により、関税の賦課対象となっている商品の価格などに影響が出ています。『商品価格』は、貿易交渉の落としどころや世界経済への影響を見極めるまでもうしばらく変動が続きそうです。
【ポイント1】米国は鉄・アルミに続き、中国の重点産業に関税を賦課
中国による報復措置では大豆や牛肉などの農産品等に追加関税
米国は今年3月、鉄鋼とアルミの輸入品にそれぞれ25%、10%の関税を賦課しました。また、7月から8月にかけては、中国からの輸入のうち500億ドル相当分に対して25%の追加関税を賦課しました。対象は、中国の重点産業が中心で、自動車や半導体関連、医療機器、ゴム・プラスチック製品などです。
一方、中国は報復措置として、米国からの輸入品のうち、大豆や牛肉のほか、自動車など、同じく500億ドル相当分に25%の追加関税を賦課しました。
【ポイント2】関税合戦による『商品価格』への影響は?
資源需要の旺盛な中国の動向にも左右されている
米国の鉄鋼への輸入関税引き上げが鉄鉱石の需要を減退させるとの見方から、鉄鉱石価格は3月以降下落しています。一方、中国が米国から大量に輸入していた大豆は、中国の報復関税の影響で米国内で供給過剰になるとの見方が強まり、米国の大豆価格が下落しています。
また、資源を多く消費する中国は、7月の主要経済指標が総じて弱めだったほか、通商摩擦による景気減速が懸念されています。 『商品価格』の代表的指数であるCRB指数は下落基調となっていますが、こうした中国経済に対する不透明感を背景に資源の需要減退懸念が広がっていることなども一因と思われます。関税の引き上げ合戦は、サプライチェーンの変更や需要減退等の思惑を通じて『商品価格』を変動させています。
【今後の展開】貿易摩擦の影響を見極めるまで『商品価格』の変動は続こう
商品市況は、需給バランスの変化への思惑によって大きめに価格が変動する傾向があります。現在の貿易摩擦は、関税の引き上げによる需給のゆがみ等が価格に影響を及ぼしている段階と見られます。今後、米国が更に中国からの2,000億ドルの輸入に対して追加関税をかける見込みで、決着の糸口がなかなか見つかりません。『商品価格』は貿易交渉の落としどころや世界経済への影響を見極めるまで、もうしばらく変動が続きそうです。
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